
任侠学園
中公文庫
今野敏
2012年1月31日
中央公論新社
733円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、ちっぽけながら独立独歩、任侠と人情を重んじる正統派のヤクザだ。そんな組を率いる阿岐本雄造は、度胸も人望も申し分のない頼れる組長だが、文化的事業に目のないところが困りもの。今回引き受けてきたのは、潰れかかった私立高校の運営だった。百戦錬磨のヤクザも嘆くほど荒廃した学園を、日村たちは建て直すことができるのか。大人気の「任侠」シリーズ第二弾。
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今度は学校法人の経営に乗り出します。誰がって、古い時代のヤクザ、任侠道に生きる阿岐本組のおやっさん阿岐本雄三ですよ。またもや代貸・日村誠司の苦労が始まります。お話しの展開は、例によっておやっさんの弟分の永神が借金のカタに手に入れた私立高校の経営に阿岐本組長が興味を持つところから始まります。おやっさん、文化的事業には、からっきし目が無いときています。任侠道では、親が白い物も黒と言えば黒いのです。ヤクザが教育に携わるなんて、世間の常識ではあり得ません。このあり得ない設定が、小説にユーモアを与えています。物語としては面白おかしくなりますが、価値観の全く違うふたつの世界を仕切る日村はたまった物ではありません。 先ずは敵情視察。経営再建に乗り込んだ井の頭学院高校でおやっさんと代貸が眼にしたのは、割れたまま放置された窓ガラスと落書きでした。荒れた学園が予想されます。おやっさんの新理事長としての最初の仕事が、全校生徒による清掃を日村に指示することでした。犯罪学の割れ窓理論ですね。もう一つの経営方針が井の頭学院を有名校にすることでした。トップダウンで指示するのが、おっさんのやり方なのです。その実現は全て中間管理職の日村の肩にかかってきます。人づくりはどんな組織にあっても基本です。日村がとった行動のキーワードは「躾」でした。ヤクザの世界では、箸にも棒にもかからない社会の落ちこぼれを躾けることで世間に迷惑をかけない一人前のヤクザに育て上げます。日村はヤクザの人材育成メソッドを教育の世界に応用したのです。 こんなシチュエーションのもと、優れたエンタメ作家の著者のことです、読者を楽しませる仕掛けも十分です。初めは美少女同士のヤキモチから始まったふたりの喧嘩が、やがてとんでもない展開を見せ始めます。一方の美少女の父親が広域暴力団の傘下・隼勇会のフロント企業のトップであることが明らかになるにつれ、次第に隼勇会と阿岐本の抗争に発展しそうなきな臭さを帯びてきたのです。最後はおやっさんの貫禄で大団円となるのは何時もの通りです。そういう意味では、安心して読み進めることができる小説ですね。 最後に、これは蛇足になるかもしれませんが、作者の現代の若者や親たち、あるいは教師への批判の言葉が随所に散りばめられています。ですから、教育批判の小説としても読めますね。
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任侠シリーズ2作目
前作任侠書房を読んだのは4年近く前、組長と日村さんくらいは覚えているけど他の組員までは覚えてなかったなぁ。 内容的には定番というか前作もそうだったのか覚えていないけど、最終的には組長の人間関係で完結。それでも相手がいるからこそ日村さんの苦労と、ラストのホロリ感があるのが知れません。 もう少し読み終えるのに時間がかかるかと思いましたが、一気読みでした。
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