早雲の軍配者（下）

本作は、後北条氏に仕えた風磨小太郎の若き日々を描く作品。どちらかというと、歴史上の人物としては、忍（乱波・透波）のイメージが強いものの、本作では、竹中半兵衛や黒田官兵衛のような軍師（作中の言葉では、軍配者）として描かれる。 そもそもどのような活躍をしたか分からない人物なので、ここは面白みがあるだろう。 一方で、エンターテイメント性はあるものの、戦国時代の苦々しさがあまり描かれず…（小太郎の性格もあるのだろうが）、行くとこ行くとこで、壁にぶち当たるものの、割りとすぐに解決する。 すぐに解決しては、腕を認められ、あっという間に出世する。順風満帆すぎる青年期が描かれており、すらすらと読めてしまう分、物語の厚みが薄く感じてしまう。 個人的には、あっさりした小説だなと思ってしまう一作であった。

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