ネルーダ事件
Hayakawa pocket mystery books
ロベルト・アンプエロ / 宮崎真紀
2014年5月9日
早川書房
1,870円(税込)
小説・エッセイ / 新書
南米チリで探偵をしているカジェタノはカフェで、この稼業を始めるきっかけとなった事件を思い出していた。それは1973年、アジェンデ大統領の樹立した社会主義政権が崩壊の危機を迎えていた時のことだった。キューバからチリにやって来たカジェタノは、革命の指導者でノーベル賞を受賞した国民的詩人ネルーダと出会い、ある医師を捜してほしいと依頼される。彼は捜索を始めるが、ネルーダの依頼には別の目的が隠されていた。メキシコ、キューバ、東ドイツ、ボリビアへと続く波瀾の調査行。チリの人気作家が放つ話題作。
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toruo
(無題)
これはチリのミステリー。彼の国ではベストセラーになったのだどか。それも頷ける大変面白い作品でした。 主人公は左翼かぶれのチリ人と付き合ってアジェンデが政権を担うこの国にやってきたキューバ人。 この作品では彼が探偵となる最初の事件が描かれています。 特徴として実在の人物が出てくるところで、この作品ではタイトルにあるようにノーベル賞作家でありアジェンデ政権では外交官も勤めた社会主義者パブロ・ネルーダが主役。 ネルーダから昔世話になったキューバ人の医師を探してほしいとひょんなことから依頼を受けた主人公が探偵の真似事をしながらメキシコ~キューバ~東ドイツ~ボリビア、と巡っていくうちに本当の探偵になっていくとともに大詩人の醜悪な側面も明らかになっていき、という作品です。 作品の筋立てもさることながら個々のシーン、ピノチェトに政権を潰される寸前のアジェンデが詩人に別れを告げに来るところ、東ドイツにおける主人公の短い恋愛と別れ、など個々のシーンにぐっとくるところがありました。 また、主人公の父親がベニー・モレのバックでトランペットを吹いていた、とか、キューバで役人に賄賂として贈るのがイラケレのライブのチケットでそれを入手する先が当時イラケレでクラリネットを吹いていたパキートだったりと細かいところで音楽好きにも訴えるところがあって非常に楽しめました。
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