
夏への扉
ハヤカワ文庫
ロバート・A.ハインライン / 福島正実
2010年1月31日
早川書房
814円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。
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(無題)
コールドスリープ、ロボ、時間旅行(タイムワープ)。要素が多く、ごった煮のイメージ(ロボいるか?)。 コールドスリープというギミックに見せかけて要所要所で出てくる謎伏線がタイムワープで解消されていく、単純明快ですっきりする。この流れは今となってはよく見るが、1956年でもあるあるだったのかは、はたして分からない。多分時代的には最先端なのだろう。ピート、リッキィ、うまく丸まってよかったネ。 コールドスリープの話かと思ったらそれはただの舞台装置であり、タイムワープこそがメインプロットだったのだ!後出し感が強い。 ピートが可愛いという感想がゲームアプリ「Alter Ego」であったが、これについては微妙。主人公ダンの味方がリッキィしかいないのを補填する目的だったのであればあまりにも役割がショボすぎるし、チャックもサットン夫妻も味方だったではないか。「夏への扉」という概念も表題として高々と掲げられているが、①物語に必要だったかと言われればさほど、という感じ(最初と最後にしか出てこない)し、②作中の色付け(表現・彩色作用)だとしても最初と最後だけというのは後付けっぽいと思ってしまった。アメリカ人(あるいは私以外の外国人)は物語全体を見て「ヨシ」とするため、ムラを気にしないのか…? 猫のピートは置いておいて、リッキィは良かった。個人的にはそちら主体でもいいくらいだったが、SFにしては触れているだけ歩み寄った方だと思う。ベルが徹底的に悪と描かれているのに対し、リッキィの純粋さや想いの強さがダンの信頼を読者に納得させた。「ほーん、ビダンやな」で終わる人もいるかもしれないが、私は議論するなら強く推したいポイント。 技術屋は経営者によって必ず不幸な目に遭うのか? 「あなたのための物語」のサマンサ然り、ピーキーなぶん、つけ込まれる隙は大きい。ここら辺はどうすればいいのだろう、将来技術者になる自分もよく考えさせられた(尤も、ピーキーな技術屋になるか、経営などのマネジメントに走るかはまだ分からないが)。 「あなたのための物語」のサマンサはぶつかった壁に対し、なお力押しで穿っていったが、本作ダンは、明確な衝突よりも裏で立ち回り出し抜くイメージ。そういう意味では差別化できる。 SFが好きな人が沼る理由 テーマやモチーフがギミックであることが多く、そのギミックがSF同士似ているせいか、比較しやすいのではないか。全く同じギミックでもメッセージを変えると話が変わってきたりする。同じカレーでも辛さを調節するか、隠し味に林檎かコーヒーのどちらか(あるいはどちらも)を入れるか。ギミックという(作内においての)形而下のはっきりしたものだからこそアレンジしやすい→アレンジの比較がしやすい?
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(無題)
親友と婚約者に騙されたぼくは、全財産と愛猫を失い30年のコールドスリー プをされたしまった。ジェイムズPホーガンの星を継ぐもの と並ぶ傑作SFと聞き、読んでみました。全ての伏線が見事に回収され、納得の読み応え。面白くて一気読みしてしまいました。「彼(愛猫のピート)は、その人間用のドアの、少なくともどれかひとつが、夏に通じているという固い信念を持っていたのである。」多分、猫好きの名言だと思います。
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