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ハヤカワ文庫JA
円城 塔
2010年2月10日
早川書房
1,320円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進めるー軽々とジャンルを越境し続ける著者による驚異のデビュー作、2篇の増補を加えて待望の文庫化。
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深瀬 舞
存在と無、無限の可能性から生まれる不可能性
緻密な論理かと思いつつ気付くと虚構に放り込まれている。しかし何故だかそれも尤もらしく思えてくる。何もかもがあり得て、しかも何もかもがあり得ない、そんな作品。否、存在しないけれど存在している自己言及エンジンが織り成す文章。これは最早単なるSF小説ではない。 この世界の法則を少しは理解できていると思うならば、それは少しもわかっていないということなのかもしれない。
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