暗殺者の献身 上

ハヤカワ文庫NV

マーク・グリーニー / 伏見 威蕃

2021年9月16日

早川書房

1,012円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる凄腕の暗殺者ジェントリー。重い感染症の治療中、彼はCIAから重大な任務を託された。アメリカの情報機関員が世界中で次々と失踪する事件。その謎を解く鍵となる人物を、ベネズエラから連れ出してほしいというのだ。同じ任務に当たっていた工作員のザックは、捕縛されたという。グレイマンは即座にベネズエラへ向かい、目標の人物を捕らえるが、謎の傭兵チームの襲撃を受けた!

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

出るたびに必ず読んでいる当代最高峰とも呼ばれるアクションシリーズの邦訳最新。主人公はCIAの特殊部隊にもいた凄腕の暗殺者で一時は所属していた組織から命を狙われていたが今は和解して独立したエージェントとしてCIAから仕事を請け負っている。前作で負傷し本作では重い感染症に倒れている。そのため本来は彼が請け負うような仕事を同じ立場のエージェント達が対応し一人はベネズエラで拘束されもう一人はベルリンで窮地に陥ってしまう。愛する女性の危機を救うべく感染症が完治してないにも関わらずベルリンに飛ぶ主人公。ベネズエラでは死んだと思われていたNSAのソフトウェア技術者が生きているらしいといいうことでその真偽を確かめる、という任務、ベルリンでは怪しげな民間軍事情報会社を探る、という任務でそれぞれ異なる話のはずが…という展開。単純な米国対どこかのならずもの国家、という図式ではなく様々な思惑の国家や機関が登場しかなり複雑な設定になっているのだがさすがの手さばきで全く混乱することなく一気に読ませる力量がやはりものすごい。最終的にまた立場が変わってしまった主人公、既に次作が待ち遠しく作者の術中に完全にはまってしまっている…アクションやミステリ好きにはたまらない作品。非常に面白かった。おすすめです。

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