それをお金で買いますか

扱っている問題ももちろんだが、多分このかたは語り口が上手いんだろうなと思う。人の興味関心を引く導入がうまい。 初っぱなからちょっと驚くような価格、代理母や絶滅危惧種のクロサイを撃つ権利の価格を羅列して興味を引き、これらは本当に値段相応なのか？というかそもそも値段をつけて売り買いして良いものなのかと読者に問いかける。 本書のなかでも色々例を出していくが、市場原理主義先進国（笑）のアメリカの例がヤバい。自分の子どもの命名権をオークションにかけるとか、さすがにどうなんだ・・・。また一方、過度な市場化に反対する人もいるという現実を教えてくれる。 市場化は二つの点で問題があり、そもそも市場に出される過程が公正か（腎臓を売るとして、それは貧窮ゆえに事実上の強制なのではないか？）という視点、また、市場化すること自体がそのものの価値を傷つけ腐敗させる（例えば子どもを売ること自体、人間性を損なうのではないか）と言っている。 そして、確かに市場は万能ではない。子どもを売り買いする社会なんて悪夢としか言いようがない。 こういった議論を各所でかいている刺激的な本です。考えるきっかけにベストかとおといます。

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