キュレーターの殺人

　第３弾。3人分の切断された指が見つかる。殺人事件なのだろうが、その理由も背景も分からない。共通点に欠ける連続殺人に通常捜査では太刀打ちできないと悟ったのか、決断力のある上司はポーに単独捜査を命じる。これまでは人の言う事を聞かずに勝手に動いていたポーも、3作目ともなると勝手な行動もお墨付きになっている。　 　当然テイリーとともに捜査を続け、あっさりと犯人にたどり着く。前作までと比べると何の盛り上がりもないが、まだ半分以上残っている。ここからが本番なのだろうか。 　予想通り一筋縄ではいかない。事件には壮大な背景が存在していることが明らかに。その首謀者がキュレーターらしい。期待を裏切らず話は盛り上がりを見せる。前作同様ポーとテイリーの関係も堪能出来る。ただ、過去の事件の冤罪者と彼を指示した裁判の陪審員が狙われているのはよく分からない。どう考えても冤罪者は被害者でしかない。 　海外作品らしく拗らせた探偵が出てくるわけでもなく、徐々に真相に迫る経過は迫力があり、最終的には事件の真相も明らかとなる。まさかお姉様が。 そして、最後も海外作品らしくいろいろと有耶無耶なまま後日談もなく幕を閉じる。願わくば次回作で立ち直ったフリンに会いたい。　 　前作までと同様読み応えのある作品であったと総括してよいだろう。ただし、フリンの身におきた被害は納得がいかない。いくら物語の一部だとしても愛着のある主要登場人物に対する仕打ちとしては許し難いし、子供が無事なら良いというものでもない。これだけストーリーを楽しませてくれる作品でありながら、こんなにも後味が悪いのはいだけない。もう少し何とかならないのだろうか。

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