ハーモニー
ハヤカワSFシリーズ
伊藤計劃
2008年12月25日
早川書房
1,760円(税込)
小説・エッセイ
「一緒に死のう、この世界に抵抗するために」-御冷ミァハは言い、みっつの白い錠剤を差し出した。21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は医療経済を核にした福祉厚生社会を実現していた。誰もが互いのことを気遣い、親密に“しなければならない”ユートピア。体内を常時監視する医療分子により病気はほぼ消滅し、人々は健康を第一とする価値観による社会を形成したのだ。そんな優しさと倫理が真綿で首を絞めるような世界に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択したー。それから13年後、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、かつて自殺を試みて死ねなかった少女、現在は世界保健機構の生命監察機関に所属する霧慧トァンは、あのときの自殺の試みで唯ひとり死んだはずの友人の影を見る。これは“人類”の最終局面に立ち会ったふたりの女性の物語ー。『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
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古今東西の本棚
(無題)
体内を常時モニタリングすることで全ての病を克服した近未来。しかし、理想郷とされた社会で同時多発 自殺が発生した...。 虐殺器官の伊藤計劃の遺作です。タイトルが意味する結末をぜひ読んで体験してほしいと思います。 最近、ユヴァル・ノア・ハラリ氏が似たような洞察をしています。それを考えると本書はとてつもなく骨太なSF です。
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