花殺し月の殺人
インディアン連続怪死事件とFBIの誕生
デイヴィッド・グラン / 倉田 真木
2018年5月17日
早川書房
2,420円(税込)
人文・思想・社会
1920年代、禁酒法時代のアメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺しの月の頃」と呼ぶ5月のある夜に起きた2件の殺人。それは、オセージ族とその関係者20数人が、相次いで不審死を遂げる連続殺人事件の幕開けだったー。私立探偵や地元当局が解決に手をこまねくなか、のちのFBI長官J・エドガー・フーヴァーは、テキサス・レンジャー出身の特別捜査官トム・ホワイトに命じ、現地で捜査に当たらせるが、解明は困難を極める。石油利権と人種差別が複雑に絡みあう大がかりな陰謀の真相は?米国史の最暗部に迫り、主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)受賞!
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toruo
(無題)
久しぶりにここまで酷い話を読んだ。ノンフィクションであることが恨めしいくらい。 アメリカ先住民にオセージ族という部族がいて、他の先住民と同じく白人に住んでた土地を追い払われ荒れ果てたオクラホマの片田舎に居住地を与えられる。彼らが他の部族と異なったのはその居住地〜ちょっといいところだとまた白人が奪いにくるからと自らわざわざ僻地を選んだ〜から大量の石油が出たこと。さすがの白人達も気が引けたのかそこからも更に追い払うことはせず定期的に国から金を払うことにした、というのが物語の前提。そのオセージ族で謎の連続殺人が起きる。インディアンが何人死のうが構わないという風潮の中、FBIを立ち上げようとしていたフーヴァーがこの事件に目をつけて優秀な捜査員を送り込み、という話。ちょっとネタバレになってしまうのだけどオイルマネーを奪おうとあの手この手で犯罪を犯す連中の悪辣さにはもはや驚きしかなく、人間はここまで悪くなれるのか、という印象。フーヴァーのクソ野郎ぶりも聞きしに勝る感じで読んでて本当に切なくなる。しかもエピローグの章で更に打ちのめされて、という構成。ものすごく嫌な話だけど読み物としてはかなり面白かった。嫌な話でも平気、という人にはおすすめします。改めていうけど…これがノンフィクションとは…。
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