銀色の記憶

文藝春秋企画出版

樺島 昌夫

2017年7月14日

文藝春秋

1,320円(税込)

小説・エッセイ

少年の日の朝、樺太の無限の青空に見えた輝きーー 中学1年生で終戦を迎えた昭が、多感な少年期に戦時下の樺太で体感した、生と死の鮮烈なコントラストを描く秀作中編 一機。銀色の胴体と翼が真上の空を滑ってゆく。単発の戦闘機。かなりの低空飛行だ。澄んだ青空に爆音をとどろかせて、手を伸ばせばとどきそうなところを飛んでいる。その姿を見てからだ中がふるえた。(「飛行機がゆく」より) ーーあと二、三年すると、ぼくも兵士になっているんだろうか。(本文より) 軍用機の新しい燃料である松根油を製造する工場が山中の台地に建設されることになり、中学一年生になった昭のクラスに勤労動員が発令された。しかし、そこには街での極度に緊張した生活からはほど遠い解放感があった。まだ樺太の空に敵機は現れなかった。 昭和20年に入り、戦況はいよいよ厳しい局面を迎える。やがて迎える停戦後もソ連軍の侵攻は止まなかった。急速に南下してくるソ連軍から逃れるため、父を除く昭の家族は、大泊港から稚内、小樽へ向かう緊急避難者のための輸送船に乗り込む。昭は父から家族の無事を託された。 戦禍に翻弄された少年の物語をリアルな情景描写で描く。

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