追伸
真保裕一
2007年9月30日
文藝春秋
1,571円(税込)
小説・エッセイ
単身でギリシャに赴任した悟に、一方的に離婚を切り出した妻の奈美子。納得できない悟に対し、奈美子は祖父母の間で交わされた手紙のコピーを送る。-約50年前、祖母は殺人の容疑で逮捕されていた。頑なな態度を貫く祖母と、無実を信じ奔走する祖父。ふたりの手紙には、誰も知ることのない真実が語られていた…。
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(無題)
真っ青で波静かなエーゲ海に浮かぶサントリーニ島。家々は真っ白な漆喰と青いペンキで彩られて、正に絵葉書そのものである。ギリシャからそんな絵葉書が送られてきたら、これほど旅情を誘うものはない。 さて、本作である。ギリシャに赴任した悟に届いた、妻・奈美子からの手紙は離婚を願うものであった。この時点で中年夫婦の愛情を扱った作品かと思って読み進めると、物語は意外な展開を見せる。どうやら奈美子の祖母・春子がらみが本線のようだ。春子が拘置所に収監されたのは、どうやら殺人の容疑らしい。春子は本当に犯人なのか、あるいはそうではなさそうでもあるが、それならなぜ無罪を主張しないのか。本書はそんなミステリーである。 物語の展開は夫婦の間の往復書簡で進められていく。まぁ、こんなスタイルも1つのチャレンジではあろうが、往復書簡で物語を紡ぐにはかなりの無理があるのではなかろうか。読んでいて、飽きるのである。読者を引き続けるには、リズムとテンポが必要とされる。その意味からも本作には首を傾げざるを得ない。
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