一刀斎夢録 上
浅田 次郎
2011年1月11日
文藝春秋
1,760円(税込)
小説・エッセイ
新選組三番隊長・斎藤一。鳥羽伏見、甲州、会津。そして死に場所を求め、男は西南戦争へ。血風録の中心にあった男が語る、幕末維新と寄る辺ない少年の運命。
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starstarstarstar 4.0 2021年07月10日
浅田さんの新選組もの最新作。本作でも例によって人物の独り語りの文体が用いられている。近衛師団に属する梶原中尉が、明治から大正へと改元された頃、友人から一刀斎こと斎藤一の存在を知り、翁に昔語りを請うという形で話が進んでいく。よって、全体は入れ子構造になっていて、梶原の話が枠物語となっているのだが、こちらのほうも読み進むにつれ話が進んでいくように出来ていて、二重構造の話になっている。 上巻では、斎藤の昔語りはいろいろ時間的に前後したりはするが、芹沢派の初期新選組時代から甲陽鎮撫隊のころまでが描かれている。斎藤の性格造型は、『壬生義士伝』で粗く造られたものを精緻にした、という感じ。重なる部分はあっても僅少なので、単体として読む分にはまったく差し支えないかと思います。浅田さんの描く斎藤の語る、人斬りの美学がめっぽう面白いです。あと斎藤と鉄之助、また土方さんとの関係もなかなか面白く描かれてます。新選組が好きな人にはマスト。
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浅田さんの新選組もの最新作。本作でも例によって人物の独り語りの文体が用いられている。近衛師団に属する梶原中尉が、明治から大正へと改元された頃、友人から一刀斎こと斎藤一の存在を知り、翁に昔語りを請うという形で話が進んでいく。よって、全体は入れ子構造になっていて、梶原の話が枠物語となっているのだが、こちらのほうも読み進むにつれ話が進んでいくように出来ていて、二重構造の話になっている。 上巻では、斎藤の昔語りはいろいろ時間的に前後したりはするが、芹沢派の初期新選組時代から甲陽鎮撫隊のころまでが描かれている。斎藤の性格造型は、『壬生義士伝』で粗く造られたものを精緻にした、という感じ。重なる部分はあっても僅少なので、単体として読む分にはまったく差し支えないかと思います。浅田さんの描く斎藤の語る、人斬りの美学がめっぽう面白いです。あと斎藤と鉄之助、また土方さんとの関係もなかなか面白く描かれてます。新選組が好きな人にはマスト。
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