
キャパの十字架
沢木 耕太郎
2013年2月19日
文藝春秋
1,650円(税込)
ホビー・スポーツ・美術
写真機というものが発明されて以来、最も有名な写真ーー戦場カメラマン、ロバート・キャパが1936年、スペイン戦争の際に撮影した「崩れ落ちる兵士」。銃撃を受けて倒れるところを捉えたとされる写真はしかし、そのあまりにも見事な迫真性が故に、長く真贋論争が闘われてきた。 学生時代より半自伝『ちょっとピンぼけ』を愛読し、キャパにシンパシーを抱き続ける著者は、その真実を求めて、スペイン南部の〈現場〉まで実に4回にわたる旅に出る。粘り強い取材の結果、導き出された驚くべき結論。そして、戦場で死んだ女性カメラマンでキャパの恋人だったゲルダ・タローとの隠された物語とは。 76年間、封印されていた「真実」がついに明らかになる。
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『ライフ』に掲載され、報道写真史上、最も高名なロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」について、真贋あるいはヤラセ疑惑の真相を追うドキュメントである。著者の沢木は、演習中に足を滑らせた兵士の姿でないかとの仮説の下、独自調査を進める。 戦場カメラマン、ロバート・キャパの出世作である「崩れ落ちる兵士」は、スペイン内乱で、「自由のために」戦っていた共和国軍兵士の「殉死」の姿を写し取ったものとして、世界的に知られるようになった。撃たれた衝撃で兵士の体は仰け反り、手に持っていた銃はその手からこぼれ落ちようとしている。戦死の瞬間を完璧に捉えた一枚だ。沢木は「写真機というものが発明されて以来、最も有名になった写真の一枚」「フォトジャーナリズムというジャンルにおいては、これ以上繰り返し印刷された写真はないように思われる」と書いている。しかし、この写真に真贋論争がまきおこる。沢木もまた 「見事すぎる」がゆえの違和感を長年心の内に育んできたという。つまり、あれは「やらせ」ではないか、という思いだ。 沢木はスペイン、パリ、ニューヨークへ旅し、地形や古雑誌や写真を繰り返し解析していくなかで、「崩れ落ちる兵士」は、演習中に足を滑らせた兵士の姿であり、撮影者は、恋人ゲルダ・タローの手になるものとの結論に達する。 「崩れ落ちる兵士」は、無名のユダヤ系ハンガリー人の若者を一躍「偉大な戦争写真家キャパ」へと押し上げた。それが死の瞬間でもなく自身の作でもないことに口をつぐったキャパは思い十字架を背負うことになった。虚名に追いつき「負債」を埋めるには、ノルマンディー上陸作戦で「波の中の兵士」をものにするまで待たねければならなかった。本書は「崩れ落ちる兵士」の真実を暴くの言うより、キャパへの深い愛情がにじみ出ている。
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