
あしあと
勝目 梓
2014年4月15日
文藝春秋
1,870円(税込)
小説・エッセイ
官能×文学、作家生活四十年の到達点がここにーー 本書の作者である勝目梓は、若き日に「文藝首都」にて中上健次らと研鑽を積み、かつては芥川賞候補にも挙がった。その後エンターテインメントに転向、1974年、小説現代新人賞受賞作「寝台の方舟」でデビューすると、バイオレンスロマンの第一人者として一世を風靡し、一ヶ月に執筆枚数が800枚を越えたという昭和のレジェンドである。 しかし、その創作意欲は衰えを知らず、近年は『小説家』『老醜の記』など私小説でも高い評価を受けた。そして80歳を超えてなお円熟味と凄みを増している作家・勝目梓が「おそらく生まれて初めて書いた不思議な作品」、さらに「私にとって最後の作品集」と語り、デビュー40周年記念作品として刊行されたのが本書である。 その言葉通り珠玉の十篇を収めたこの作品集は、官能と文学の新境地をさらに切り拓く一冊だ。ある者はこの世に起こり得ない不思議と遭遇し(「万年筆」「あしあと」)、ある者ははるか彼方に封じていた記憶を呼び起こし(「記憶」「橋」)、ある者は倒錯の性に搦めとられていく(「人形の恋」「影」「秘技」)……。 作品の年代は戦前から現代までと様々だが、作者自らが目にしてきた時代をそれぞれに切り取り、作品の奥行きをさらに広がってゆく。いずれも夢とも現実ともつかぬ時空を自在に往来し、エロスを妖しく漂わせる、まさに名人芸の粋に達した佳品ばかりだ。作家の逢坂剛氏も「創作意欲の衰えなどみじんも感じさせぬ、逸品ぞろいの作品集に仕上がった。勝目さんの小説は、とても傘寿を超えた作家とは思えぬほど若わかしく、清新な感性に満ちあふれている」(文藝春秋「本の話」)で惜しみない賞賛を送っている。 短篇小説を極めた本物の作家、渾身の作品集が見事に誕生した。
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