
モンフォーコンの鼠
鹿島 茂
2014年5月31日
文藝春秋
2,200円(税込)
小説・エッセイ
1831年、七月王政下のパリ。小説家バルザックのもとにカストリ侯爵夫人からファンレターが届く。同じ頃「危険思想」の集団サン・シモン主義者たちの捜査を進める警視総監代行アンリ・ジスケは公衆衛生学者パラン・デュ・シャトレにパリ郊外モンフォーコンの廃馬処理場で出会い、パリの食糧問題と衛生問題について滔々と語られる。モンフォーコンでは廃馬の内臓を餌に巨大化した鼠が出現しはじめていた。また同じ頃、サン・シモン主義をさらに推し進めた過激な社会主義者フーリエと信奉者たちは男女が完全に平等に、自己の欲望に忠実に生きる理想的共同体「ファランステール」建設を目論む。ある日、バルザックのところに美女サン・レアル侯爵夫人がたずねてきて『デヴォラン組』なる小説の三巻本をおいていく。著者は「オラース・ド・サン・トーバン」。バルザックが昔使っていたペンネームであるが、こんな本を書いた覚えはない。しかしやがてバルザックは何かに導かれるかのように第四巻『カリエールの死闘』の執筆を始めるのだった。ユートピア(ディストピア)小説でありエネルギー問題や地下王国を扱う元祖SFのような趣きもありバルザックの諸小説や「レ・ミゼラブル」を下敷きとするメタ・フィクションでもある複雑な味わいの傑作長篇。
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