
モダン
原田 マハ
2015年4月13日
文藝春秋
1,430円(税込)
小説・エッセイ
ニューヨークの中心、マンハッタンに存在し、1920年代から「ザ・モダン」と呼ばれたモダンアートの殿堂。それが「MoMA」ニューヨーク近代美術館。近現代美術、工業デザインなどを収集し、20世紀以降の美術の発展と普及に多大な貢献をしてきたこの美術館を舞台に、そこにたずさわる人々に起きる5つの出来事を描いた自らの美術小説の原点にとりまくんだ美術小説短編集がついに刊行。 『楽園のカンヴァス』で、山本周五郎賞を受賞、本屋大賞三位を獲得した原田マハが、半年間勤務し、『楽園のカンヴァス』でも重要なモチーフとなった〈ルソー〉の「夢」も所蔵する「MoMA」が舞台。『楽園のカンヴァス』とは、世界観を共有し、その作中人物も登場。「新しい出口」は、マティスとビカソ、そしてある学芸員の友情と別れを描いた作品。そのほかにも、アメリカの国民的画家〈アンドリュー・ワイエス〉と〈フクシマ〉の原発事故について描く「中断された展覧会の記憶」、MoMAに現れる一風変わった訪問者にまつわる監視員の話「ロックフェラーギャラリーの幽霊」、初代館長アルフレッド・バーと、美しきMoMAの記憶を、インダストリアルデサイナーの視点から描いた「私の好きなマシン」、美術館に併設されたデザインストアのウィンドウにディスプレイされた日本に待つわるものについての意外なエピソードをつづった「あえてよかった」など、著者ならではの専門的かつ、わかりやすい視点で、芸術の面白さ、そして「MoMA」の背景と、その歴史、そして所蔵される作品群の魅力を、十二分に読者へと伝える待望の「美術館」小説集。
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(無題)
モダンアートの殿堂、ニューヨーク近代美術館(MoMA)収蔵作品に因んだ五つの短編集である。MoMA勤務経験のある原田マハらしい作品集である。 第1話「中断された展覧会の記憶」はワイエスの「クリスティーナの世界」をモチーフに東日本大震災を描いた作品である。五編の中で最も感動的である。この絵には見渡す限りの大草原、ピンクのワンピースに身を包んだクリスティーナのか細い手足が描きこまれる。遠く彼方に建つ家まで、たどり着けるのかどうか。ワイエスが描いたクリスティーナの世界は絶望ではなく、希望に満ちていた。 第2話「ロックフェラーギャラリーの幽霊」にはピカソの「鏡の前の少女」・「アヴィニョンの娘たち」が登場する。MoMA初代館長が幽霊となって現れるお話だ。そして第3話「私の好きなマシン」にも初代館長アルフレッド・バーが登場する。彼と工業デザイナーとの交流が描かれる。このインダストリアルデザイナーはマックパソコンのデザインを依頼されるが、こんなことがほんとうにあったらいいな、と思えるいい話である。第4話「新しい出口」では色彩に革命を起こした野獣派のアンリ・マティスと、形態に革命を起こしたキュビスムのパブロ・ピカソが対比される。マティスの「浴女と亀」に対してピカソの「アヴィニョンの娘たち」、「マグノリアのある静物」と「血入りソーセージのある静物」、そして「窓辺のヴァイオリニスト」と「影」である。
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