大名倒産 下

浅田 次郎

2019年12月6日

文藝春秋

1,760円(税込)

小説・エッセイ

借金の積もり積もること二百年、御家を救う唯一の手立ては計画倒産!? 読めば福がやってくる! 笑いと涙の経済エンターテインメント。 連載中から「面白い!」の声続々! 〇江戸時代にもロスジェネってあったんだ!と思いました(30代女性) 〇鮭と米がとにかく美味しそう……。(40代男性) 〇もはや古典落語のような語り口、どこで止めていいのか分からない!(40代女性) 〇『プリズンホテル』以来の大笑い。それでいて、ほろり。こんな浅田作品が読みたかった! (60代男性) 丹生山松平家三万石を襲いだばかりの若き殿様は江戸城で脂汗を垂らしていた。 ーー御尊家には金がない。 老中からの宣告に慌てて調べてみれば藩の経済事情は火の車であった。 奇跡でも起こらぬ限り返しようもない額の借金に押し潰される寸前の弱小大名家。 父である御隠居はこの苦境を見越して、庶子の四男である小四郎に家督をとらせたのだ。 計画的に「大名倒産」を成した暁に、腹を切らせる役目のために……。 父祖から受け継いだお家を潰すまい、美しき里である領地の民を路頭に迷わせまいと、 膨らんだ借金に、倹約、殖産興業と手を打つ若殿。 しかし道のりは遠すぎる! 健気な若殿の頑張りに、いよいよ七福神が乗り出すか? そして父の深意とは……。 人も神様も入り乱れての金策に、果たして大団円なるのか──。 うっかり笑っていると号泣します……。感動のラストへ!

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Readeeユーザー

(無題)

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2.9 2020年11月14日

頭は良くて弁もたつ。しかし性格が悪い。丹生山松平家三万石の前藩主の人物評である。こう聞いて、私は思わず池波正太郎の捕物帳の主人公によく似た名前の経済学者にして政治家、現在は日本有数の大企業の会長に収まっている人物を思い浮かべた。実に世渡りが上手いのだ。 丹生山松平家の御隠居様も、藩を計画倒産させて上手いことやろうと画策したのであった。自分は隠居し、庶子である四男に家督を譲って詰腹を切らせようと言うのだから、性格が悪いを通り越して冷血漢である。 負債総額は25万両。利息だけでも年間3万両。そして歳入はたったの1万両。すでに丹生山松平家の財政再建は時期を失している。そう考えれば、大名倒産と言う前代未聞の目論見も正論に聞こえてくる。一方、こうした前藩主の目論見に真っ向から立ち向かうのが、我らが若き盟主、第13代松平和泉守である。故あって足軽の子として育てられたがために、銭金の重みを知るからである。 こうくれば、勧善懲悪の原理から言ってもこの戦いは若藩主の勝利が予想されるが、それでは不可能とも思える財政再建をどうやって成し遂げるかである。まー、小説だから都合の良いようにストーリーを作り出すだけのことである。何しろ、貧乏神や七福神を登場させているのだから、彼らの神通力を働かせればなんと言うこともない。めでたく大団円となる。

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Eugene

ストーリーテラー

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3.9 2019年12月28日

久し振りに浅田次郎氏を読む。 ストーリーテラーとしての浅田さんの一つの面をまたまた見せて頂いた。 「一路」と同様な感覚を持つこのジャンルは、今や浅田さんの掌中の物となった感がある。 「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」、また「鉄道員(ポッポや)」等の作品群とは違う手触りが、堪らない。 一つだけ書かせて貰えば、ストーリーが盛り上がった後の終いの仕方が何とも・・・。 浅田さんの作品に接する時、しばしば感ずる触感が、今回もある。 はっきり申し上げて「盛り下がる」。

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