
江戸の夢びらき
松井 今朝子
2020年4月24日
文藝春秋
2,090円(税込)
小説・エッセイ
【不世出の天才・初代市川團十郎、空前の一代記】 なぜ江戸の民衆は團十郎に熱狂したのか。 團十郎が命をかけた〈荒事〉とは何か。 そして、なぜ舞台上で命を落としたのか。 元禄時代から現在まで常に歌舞伎界に君臨し続けた 大名跡・市川團十郎、そのはじまりの物語。 ●あらすじ 寛文7年(1667)、浪人の娘・恵以はひとりの少年と出会う。 子どもながらに柄の悪い侠客たちに囲まれ、 芝居に出れば大暴れして舞台を滅茶苦茶にする破天荒さに呆れながらも、 恵以は自然と人の注目を集める彼の素質に気づく。 少年の名は海老蔵。 長じて市川團十郎を名乗り、〈荒事〉の追求の果てに 江戸の民衆から信仰にも近い人気を集め、 劇作家としても今なお愛される名演目や斬新な演出を 次々と生み出した不世出の天才。 彼が命をかけた〈荒事〉とは何だったのか、 そして、なぜ舞台上で命を落とすこととなったのか。 謎多き初代市川團十郎の波乱万丈の生涯を、 元禄の狂乱と江戸歌舞伎の胎動とともに描く 空前の一代記がここに誕生!
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(無題)
初代市川團十郎の物語である。團十郎といえば荒事。それまでの歌舞伎が容色本位の歌舞中心であったのに対し、写実的なせりふ劇が確立したのがこの時代であった。そして、今では当たり前の六方やにらみを創始したのも初代であった。 江戸の総鎮守・神田明神には平将門が祀られている。平将門は京都の朝廷・朱雀天皇に対抗して「新皇」を自称した朝敵である。朝廷は追討軍を差し向けると同時に将門調伏の祈願を大寺社や密教僧に命じた。祖父宇多法皇の下で出家していた寛朝は、自ら関東に下向し祈祷した。その時に祈祷した不動明王を本尊として創建されたのが成田山新勝寺である。つまり成田のお不動さまと神田明神とは仇同士と言えよう。このため、神田明神の氏子には成田山への参詣は禁じられる。 さて、團十郎。父母ともに江戸の町人とはいえ、上総の出身。神田明神よりは成田山新勝寺を身近に感じるふたりのことである。世帯を持ったのが遅かった2人、成田山に子宝祈願してようように産まれたのが海老蔵であった。赤いから赤ん坊というにも関わらず、茹でたての海老みたいに赤いという事で名付けられた幼名であった。本書はそんな海老蔵がどのようにして歌舞伎役者となり、江戸随一の役者との名声を上げるようになったかが、妻の恵以の目線で描いてある。 元禄の世、歌舞伎は身分の上下を問わず、人々の最大の楽しみであった。だから、役者は客を喜ばせようと舞台から飛び出すなどの工夫を重ねた。「荒事」や『暫』など著名演目が誕生したのは、初代の苦心の賜物であった。そんな秘話が面白く語られる。
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