「昭和天皇実録」の謎を解く

文春新書

半藤 一利 / 保阪 正康 / 御厨 貴 / 磯田 道史

2015年3月20日

文藝春秋

968円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

87年の生涯にわたり、日々の動静を克明に記した「昭和天皇実録」。史実として認められたことがある一方で、書かれなかったことも。昭和史の知識と経験が豊富な4人が、1万2千ページの厖大な記録に挑む。

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starstarstarstar 4.0 2022年02月08日

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starstarstarstar 4.0 2020年10月25日

「昭和天皇実録」を読み込んだ4人の意見を開陳し合って面白い話が続々出てくる。昭和天皇の苦労が浮かび上がってくる。

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(無題)

starstarstarstar 4.0 2019年05月24日

「昭和天皇実録」を読み込んだ4人の意見を開陳し合って面白い話が続々出てくる。昭和天皇の苦労が浮かび上がってくる。

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(無題)

-- 2018年01月21日

初めに明らかにしておきますが、僕は天皇制否定論者です。現在の日本では全体の1割にも満たない少数派です。それでもこんな風に明言するのは、君主制から共和制への移行は「人類の進歩」だと思っているからです。もうひとつ、誰も責任を取らない政治家や官僚には腹立たしさを感じますが、太平洋戦争終了時に天皇の戦争責任を明らかにして、天皇が責任を取っていれば、この日本人の無責任な精神性も少しはマシになったのではないかと思うからです。だから、本書において興味があるのは、天皇が自らの戦争責任をどう考えていたか、となぜ退位しなかったかが明かされるかどうかにつきます。 今から2500年前に生きた仏教の開祖・釈迦はカースト制度を否定したことで知られます。ところが、理不尽な身分制度は今にまで生き続け、解消されることはありません。ある時インド人に「インドでカースト制が無くならないのは何故ですか」と尋ねたところ、返ってきたのが次の言葉でした。「それは日本で天皇制が無くならないのと同じです」。皇紀2600年ですから釈迦よりも古い時代に始まったとされる我が国の歴史と共にある天皇家を否定することは、国家そのものを否定することにもなりかねず、そうそう出来ることではありませんね。 しかし、インテリと目される人がこと天皇のことになると思考停止に陥るのは、どうにも理解できません。本書でも天皇に戦争責任があると思っていた半藤一利が天皇在位60周年で涙を流す昭和天皇の写真を見て、その時から「臣一利となった」と述べています。「この方は本当に苦しんでこられたのだ」と思ったのだそうです。人間的側面をことさら強調することで、人格の高潔さをアッピールするのに白々しさを感じますね。先の大戦で、どれだけの人が命を失い、筆舌に尽くしがたい辛苦を味わったのかを考えれば当たり前だと思います。 本書はその半藤一利がノンフィクション作家の保坂正康との対談及び政治学者・御厨貴、歴史学者・磯田道史との鼎談で「昭和天皇実録」と昭和天皇の実像に迫ろうとするものです。昭和天皇実録が全19巻と膨大な量ですので、本書はそのエッセンスを先読みすることができます。ところで、僕の1番の関心事、天皇の戦争責任について「昭和天皇実録」はどう書いているのかです。この問題は僕ばかりか多くの人々の関心を集めてるのでしょうね。本書でも避けて通ることはできなかったようです。国際法上や政治上の責任は無かったが、道義的倫理的に国民に迷惑をかけたとの南原繁東大総長の演説を紹介して間接的に戦争責任に言及しています。退位については、戦犯容疑者を連合国に引き渡さない代わりに自らの退位を語ったようです。 敗戦処理に関して「国体の護持」が指導者層の最大関心事であったことは、広く知られたところですが、国体が具体的に何を指すかが立場によって全く違っているのを本書は明かしています。普通僕たちは日本という社会システムの継続と考えると思いますが、当時の軍部の考えは、武装解除されないこと、戦争の責任を取らされないこと、そして賠償金を取られないことだったといいます。一方、吉田茂は天皇制の維持と考えました。その天皇は三種の神器と考えたようです。何とも曖昧な概念のままに国を運営していたのですね。また、天皇が無条件降伏を受け入れる際の最大の悩みが「皇祖皇宗にどう申し開きをするか」との保坂と半藤の指摘も面白いですね。天皇は「人間宣言」後にも「朕が神の裔でないということには反対である」と発言しているんです。つまり、天皇は自分は現人神でないけれど神の末裔であると考えていたことがうかがえます。天皇は何よりも宗教的存在だったのですね。 本書は「『昭和天皇実録』の謎を解く」です。ということは、先ず何が謎なのかが明らかにされなけらばなりません。それが読んでいてよくわからないのです。実録は侍従が記した「お日誌」と呼ばれる動静記録や天皇側近の日記など膨大な資料を基に、聞き取り調査も交え、宮内庁書陵部十数名が編修に関わったとされています。その中でもエース級の人物が昭和天皇をどのような人間として描こうとしたのか、戦後史における昭和天皇の位置付けをどう考えたのかに迫ろうとしたのでしょうかね。

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