新自由主義の自滅 日本・アメリカ・韓国

文春新書

菊池 英博

2015年7月21日

文藝春秋

935円(税込)

ビジネス・経済・就職 / 新書

アベノミクスでは日本経済は復活できない!?グローバル化が進む現代資本主義社会において、最も恐るべき存在である「新自由主義」の正体を、米国・韓国での失敗を検証しつつ、徹底的に批判する。

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Readeeユーザー

(無題)

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2.6 2018年02月14日

残念ながら、この本のどこを探しても新自由主義が自滅する必然性は書かれていない。自滅するのは新自由主義を政策導入した国家であり、新自由主義を信奉する一部富裕層はより以上の富を獲得する事が予測されている。本書は新たな資本主義の道を模索するものではなく、ケイジアンによる新自由主義の批判といったほうが内容を正確に表しているだろう。その内容を要約すれば、新自由主義は一部の資本家と経営者を富ませるだけで大多数の人間を貧困に陥れるだけでなく、やがては国力の衰退につながるものであるとする。だから著者は、国家主導の積極財政によって雇用を増やしていけば結果として税収も増えるし、国民も豊かになり国家財政も赤字が減少すると主張する。 世の中には新自由主義を肯定的に見る人も否定的な人も存在する。その違いはその人の依って立つ場所の違いに関わる。勝者であることが約束されている人にとって弱肉強食の世界は、居心地が良いだろうし、社会的弱者は政府に保護を求めるものである。障害を持って生まれてくる人が数パーセントいるのが、人類の歴史であった。であるなら、そのような社会的弱者は社会全体でリスクをシェアすべきである。才能や能力に恵まれて生まれてきた人は、それを社会に還元するのが責務であると肝に命ずべきであり、弱者は闇雲に権利を主張ばかりでなく、感謝の念を持つのが、人間として正しい態度だと思う。 宇沢弘文が数学から経済学に転じたのは「世の中を救うのは経済学である」と考えたからだった。宇沢が蛇蝎のごとく嫌ったのが、新自由主義者にしてノーベル経済学賞受賞者・フリードマンであった。ある日、フリードマンがポンド切り下げを見越して、空売りをしようとしたら、銀行から断られたというのである。それを怒っているフリードマンの言動に宇沢は心底あきれたとして、このエピソードを紹介している。稼ぐが勝ちという新自由主義もおかしければ、それを唱える学者の人間性にも怒っていたのである。 新自由主義を批判する著者の立場に私も同感するものであるが、どうしても同意できないのが水野和夫、広井良典、武田晴人への批判である。著者はケインズ流政策で経済成長は可能であると考えているのに対して、成熟したアメリカや日本ではもはや経済成長は望むべくもない。資本主義は新たな局面に入ったとの認識の違いである。私は水野や広井の言説に与するものである。

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