石田禮助の生涯 「粗にして野だが卑ではない」

石田禮助、三井物産の代表取締役を務めあげ、その後国鉄総裁になった人物。この本は彼の生前の知り合いの声や評判を元に、彼のやってきた仕事だけでなく彼自身の性質まで紹介している。粗にして野だが卑ではないという題名の通り彼は正直者で、労使間の癒着を許さず、筋を真っ直ぐ通した人生を送ったようだ。この本の中で三井物産時代のライバルであった向井が100%の保証がなければことを起こさない人物であったのに対して石田は70%の保証があればやる人物であったとある。晩年まで株にも勤しみ、ある程度は賭けの気持ちで勝負に出る男気のある人物であったのだろう。このような男としての度胸はもちろん、全体を見通す力が優れていた人物であったのであろう。マスコミの前でも国会でも非常に正直で周りの人物を冷や冷やさせたとある。しかし結局は彼の正直さと明晰さに人々は魅了されていったようだ。彼は国鉄の仕事に関してはパブリックビジネスということを頭におき、天国のパスポートを手に入れるために行っていた、とある。その通り、自分の利益や保身に回ることがなかったからこそこのような正直さを貫く事ができたのだと思う。今の世の政治家に是非とも欲しい人材であると考える。 一癖も二癖もありつつも多くの人から愛された明治の男、石田禮助、あっぱれ。カッコいい。

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