
三陸海岸大津波
文春文庫
吉村 昭
2004年3月10日
文藝春秋
550円(税込)
科学・技術 / 文庫
明治29年、昭和8年、そして昭和35年。青森・岩手・宮城の三県にわたる三陸沿岸は三たび大津波に襲われ、人々に悲劇をもたらした。大津波はどのようにやってきたか、生死を分けたのは何だったのかー前兆、被害、救援の様子を体験者の貴重な証言をもとに再現した震撼の書。
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言葉がここまで多くを語るのか
読み進めやすいのに内容はとても濃い。事実の列挙ではなくそれぞれの物語を綴り大災害の姿を読者の中に形作る。そうして描かれたイメージと個々の話への共鳴が挙げられる数字の重みをより実感があり、簡単には受け止めようもなくする。おおかたドキュメンタリーの文章版、と考えていたが重みが違う。映像がなく自分で景色を構築する必要があり、テレビでさっと見るのとは求められる覚悟が桁違い。 映像がなく文章だけということには時間に依存しない、という特徴がある。映像はどうしても編集した側のテンポに沿って進められるため、必ずしも受け手がうまく飲み込めるとも限らない。その点文章では読む速さは受け手に一任され、自分のペースで中身に、その向こうの人に向き合うことができる。また、僕は映像が当たり前となった世代だが、映像で記録が残されているのは第二次世界大戦の頃から。後々の証言はおろか、明治29年(1896年)の時点の映像はほぼ残っていないはずだ(ましてや津波が襲ったその瞬間は)。そこで文字は読み手に景色に想像の余地を生み感情の入る隙を与えるだけでなく、当人の肉声、その録音録画に頼らずに世代を超えて心の声を伝える役割を果たしている。 この本の出版後に人々を襲った東日本大震災から今年で10年。もちろん今はネットも普及し、様々な形で教訓が語り継がれている。ただそういったものが発展する、あるいは重要だと気付かれるさらに前にこの大切な記憶を本という形で記録しようと思い立ち実際に行った著者には敬服の意を抱く。
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歴史の継承
明治、昭和における三陸 津波の歴史。 吉村氏らしい綿密な取材に基づいた作品。語り部もいなくなった明治・昭和の津波についてこれ以上無い記録と感じる。 繰り返した歴史から、これ以上死者は出ないと綴っている。しかし3.11は発生した。いつも、想定以上は起こりうる。津波は忘れた頃にやってくる。歴史の継承が難しくなっている今、どう伝え、どう戦うのか。津波に限らず全ての事象に対する問いかけだ。
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