運命の人(4)
文春文庫
山崎豊子
2011年2月10日
文藝春秋
737円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
曲折の末、弓成は沖縄へたどりついた。さまざまな人々と出会い、語らううちに、沖縄返還取材に邁進していた頃は見えていなかった沖縄の歴史と現実に直面する。再びペンを手にした弓成が再生への道を歩き出したとき、あの密約を立証する公文書が発見されたというニュースが飛び込んできた。感動の巨篇、ここに完結。
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(無題)
有罪の第二審判決にすぐさま控訴した弓成だったが、最高裁は控訴棄却。九州に帰り、家業をついでいた弓成に更に過酷な運命が。国家権力に叩きのめされた弓成は、すべてを失って沖縄に辿り着いた。絶望に閉ざされる中、妻子とは、六年間音信不通。この間、さまざまな島の人々と出会う。取材に邁進していた頃は見えていなかった沖縄の辛い歴史と、いまもレイプやヘリコプター墜落など基地がらみの事件が頻発し、アメリカに蹂躙されつづける現実に直面した彼は、ゆっくりと甦り、ふたたびペンを手にする。妻子と交流を絶って16年、事件から30年経ってあの密約を立証する公文書が米国立公文書館で発見されたというニュースが飛び込んできた。この第四巻で弓成が沖縄に行く辺りは、著者の創作のようだ。沖縄返還に伴う密約、その密約を暴く公文書の発見が沖縄大学の教授、そんな舞台設定で大団円となる。
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