紫紺のつばめ

文春文庫

宇江佐 真理

2002年1月10日

文藝春秋

649円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

材木商伊勢屋忠兵衛からの度重なる申し出に心揺れる、深川芸者のお文。一方、本業の髪結いの傍ら同心の小者を務める伊三次は、頻発する幼女殺しに忙殺され、二人の心の隙間は広がってゆく…。別れ、裏切り、友の死、そして仇討ち。世の中の道理では割り切れない人の痛みを描く人気シリーズ、波瀾の第二弾。

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3.2 2018年01月27日

シリーズ第2弾。深川芸者のお文は、かつて世話になった旦那の息子の援助で家を改築するとともに、芸者として第一級の着物と装身具を取り揃えてもらうことになった。この息子、決して下心があってのことではない。父親が面倒をみた芸者が、落ちぶれることなく、いつまでも深川一の芸者であってもらいたいとの、粋な計らいからであった。この話が面白おかしく色事抜きで伊三次に伝わるわけがない。面白くない伊三次がお文から遠ざかるのもうなづけるところだ。 そんななか、伊三次は世話になった大店の隠居を久しぶりに訪ねた。その夜、その隠居が殺された。匕首で刺され息を引き取る寸前に「伊三次」と呻いたというのだ。隠居ごろしの下手人として引っ捕らえらた伊三次は、アリバイを主張するが、当のお紺に否定されてしまう。そこに登場した文吉姐さん、たちまちのうちに、お紺の嘘を暴き伊三次は無罪放免。そして2人はなんとはなしに元の鞘に収まるのであった。 それにしても不破の仕打ちに収まらないのは伊三次であった。5年もの間、不破の下ッ引として尽くしてきた伊三次を信用せずに下手人扱いした不破に腹を立てた伊三次は、不破の屋敷に出入りしなくなったが、不破の内儀いなみから使いが来て、伊三次に髪を結ってくれというのだ。 こんな風に物語は語られてゆくが、私には伊三次が何故不破の下っびきを続けるのか、その理由がわからない。通常、同心の下働きをする岡っびきや下っびきは、幕府の正式の役人ではないから報酬は出ない。だから他に正業を持っているのが普通だ。取り立てて正義感が強いか、捕物そのものに面白さを感じているか、街の顔役としていい顔ができる、あるいは付け届けがある、こんなところが警察官僚の下役として働く彼らの本心ではないかと推測されるが、伊三次はどれにも当てはまらないように思える。伊三次の場合はしいてあげれば、忍び髪結いを見逃してもらった不破への恩が考えられるが、それが見返りの少ない下っびきを続けるインセンティブになり得るのか、甚だ疑問である。

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