最後の息子
文春文庫
吉田 修一
2002年8月2日
文藝春秋
627円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
新宿でオカマの「閻魔」ちゃんと同棲して、時々はガールフレンドとも会いながら、気楽なモラトリアムの日々を過ごす「ぼく」のビデオ日記に残された映像とは…。第84回文学界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちを爽やかに描いた「Water」、「破片」も収録。爽快感200%、とってもキュートな青春小説。
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最後の短編、Waterがめっちゃよい
基本舞台は長崎 1. オカマの閻魔ちゃんの紐として生活する主人公の話。 ビデオカメラを通して日常を振り返るという形で物語が進む。 映像を通しての描写、主人公の主観で登場人物の心情が読み取れる。 オカマならではの、なんだか肩身が狭いけど頼り合って、支え合って、けど崩れるときは一瞬で。みたいな特殊な関係性が少しだけ「刹那」を感じた。 2. 長崎が故郷の青年の帰郷の話 青年は長男で、東京で女と同棲している。 女は働いているしお金もあり、お互いに自立している。 そんなことを故郷で話すと、男が支えなくていいような女なら結婚する意味がない、など言われてしまって かなり男女の感覚がズレている描写がある。 そんな中で故郷に残った弟は、古い男女感を持ったままクラブの女に ありがた迷惑の支えをしようとして問題になる。。 なんだか男女の違いと、田舎と都会の違い、 そんな違いを素朴に表現された作品 3. 長崎の高校水泳部が舞台 主人公は記録をもつ半年前に死んだ兄を尊敬してやまない 水泳部のキャプテン。 家族では兄の死をうけて、母親がおかしくなっちゃうし 親友はゲイ疑惑がでるし、親友の彼女ともいい感じになるし、親友の母親も家出するし、、 で色々な問題にキャプテンとしても、イチ男子高校生としても悩まされるけど 結局は記録を破りたい、全国に出たいという思いでチーム一丸で勝ちを手に入れる。 ここの描写があつい、決勝までの持っていきかたも良い。 読んでいても、こいつらにとって人生最高の瞬間になったと 十年後、二十年後思い出すんだろうなと、思えた。 全体を通して非常によかった。
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