天使はモップを持って

文春文庫

近藤 史恵

2006年6月9日

文藝春秋

770円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

深く刺さった、小さな棘のような悪意が、平和なオフィスに8つの事件をひきおこす。社会人一年生の大介にはさっぱり犯人の見当がつかないのだがー「歩いたあとには、1ミクロンの塵も落ちていない」という掃除の天才、そして、とても掃除スタッフには見えないほどお洒落な女の子・キリコが鋭い洞察力で真相をぴたりと当てる。

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とも

(無題)

starstarstar 3.0 2018年01月24日

主婦に言わせれば「終わりのないジョブ』が家事だそうです。そう考えると、辛い仕事ですよね。だから辛い仕事を機械に肩代りさせようと、掃除機・洗濯機・炊飯器や電子レンジなどの家電が発明され、普及していったんでしょうね。 掃除夫ではなくて、ここはやはり掃除婦がイメージにぴったりしますね。しかも中年婦人を思い浮かべますよね。これってどうしてなんですかね。人間が生を営む以上、必ず汚れが生じますので、お掃除がエンドレスで必要になります。綺麗にしても、しても、汚れるのですから、お掃除には一種の虚しさが伴います。これを克服するには、努力よりも適性が左右するように思われます。そこで中年女性の出番となるのは至極当然の事でしょう。 さて、本作の主人公・キリコはそんなイメージとは対極にあります。先ずは若いことです。延々と続く単純労働に我慢ならないのが若さというものです。もう一方で、若さはおしゃれを求めるものでもあります。キリコはまだ少女っぽさが残るほどの若さで、スレンダーな身体を意識したおしゃれは人目を引きます。その上で仕事としての清掃にやり甲斐を感じています。僕などは心理学のメスでもってキリコの頭と心の中を切り刻んでみたくなります。 そんなスチエーションのちぐはぐさは、この作品に滑稽さをもたらすものとして、著者の計算の内なんでしょうが、それでもやはり後ろめたさは感じるようで、本書の中に言い訳めいた短編を収録しています。それが「シンデレラ」で、キリコを好きになった松岡に好きになった女の子はお姫様であってほしい願望を持たせて、病的な役を演じさせて、キリコのチグハグさを正当化しています。 なんだか随分と理屈っぽい事を書きましたが、本書はそんな理屈抜きで楽しめるエンタメ作品ですので念のために申し添えますね。

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