ウィンター・ホリデー

文春文庫

坂木 司

2014年11月7日

文藝春秋

770円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

元ヤン&ホスト→宅配便ドライバーの父+しっかり者の小学生の息子 一人から二人、そして仲間と……大人気「ホリデー」シリーズ第二弾! 元ヤンキーで元ホストの大和と突然現れたしっかり者の息子・進のひと夏の絆を描いた『ワーキング・ホリデー』、その待望の続編! 冬休みに進がやって来るのを心待ちにしつつ、自分の知らぬ間に女手一つで頑張っていた元恋人で進の母親・由希子のことが気にかかって仕方ない大和。しかし、クリスマス、お正月、バレンタインとイベント盛り沢山のこの季節は、トラブルも続出で……。 そんな季節を舞台に、大好きな人と一緒に過ごせる幸せに改めて気づかせてくれる、6編の物語が収められています。

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Readeeユーザー

お前誰?

starstarstarstar 4.0 2021年01月15日

ある日突然、「初めましてお父さん」と全然知らない幼い男の子が現れたらどうしますか?お前誰?本当に俺の子??疑いつつも一緒に過ごした日々で親子なんだとわかる日が来る。この子を守らないとと思う時が来る。ちゃらんぽらんだった人生をしっかりしたものにしようと思う。そんな心あたたまる親子愛のお話です。 主人公は元ヤンでホストの大和。武闘派ヤンキーだが根は真っすぐな大和は、クラブのオーナーのおかまのジャスミンに拾われ、ホストの世界に足を踏み入れることになった。その勤務先のホストクラブ「クラブ・ジャスミン」に突然小学五年生の男の子が現れ、「初めまして、お父さん」と挨拶されるところからお話は始まります。お前誰?状態だったが、よくよく話を聞くと、身に覚えのない話じゃなかった大和君は焦る焦る。息子が現れた翌日にジャスミンは大和を解雇し、新たな就職先を斡旋、それは宅配便会社の、正社員を前提としたアルバイト。息子(進)のためにもこの世界から日の当たる場所へ行きなさいという親心だった。 昼間あせくせ体力仕事なんてやってられるか!と、最初はきつかった仕事も家に帰ると進(息子)がいる状態(夏休みの間だけ一緒に暮らす)が嬉しく頑張ろうという気になり、毎日ハチさんのリアカーをひいて街を走り回るようになった。給料はホストの時よりもずっと安いが、誰かのために働く喜びを覚えた大和。いっぽうしっかり者の小学五年生の進は、大和が働いている間、家の中の家事をしたり料理をしたりと、大和をサポートする。他人だった者同士が親子になっていくさまが、あたたかい気持ちにさせてくれます。夏休みの終わるころ、離れがたく泣いてしまうところは、やっぱりしっかりしていても子どもなんだなと安心させられる部分もありました。 「次は冬休みに来るね」そう言い残して、母親のもとに帰っていった進。イベント盛りだくさんの冬休み、進と大和がいったいどういう休暇を過ごすのでしょうか。父親らしくなってきた大和は、後輩の教育係に任命され、できない後輩に苛立ちながらも指導するという、仕事もステップアップしていきます。ウィンターホリデーでは、生ものの配達の難しさ(特に代わりの効かないおせち料理など)、時間の制約、配達員さんの苦悩がとてもリアルに描かれています。本当に大変な仕事だ、生活に欠かせない仕事なんだ、と思い知らされ、配達員さんたちにエールを送りたい一冊に仕上がっています。

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