三つの名を持つ犬

徳間文庫

近藤史恵

2013年6月30日

徳間書店

691円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

犬を撫で、その温かさに触れることで、ようやく少し救われる。売れないモデルの草間都は、愛犬エルとの暮らしをブログに綴ることで、心が充たされるだけでなく、生活の糧も得ていた。だが、ある夜エルは死んでしまう。追い込まれた都は、エルそっくりの飼い犬を、思わず家に連れ帰ってしまった。ちいさな罪のはずが、それはやがて思いがけない事件に…切なく胸を打つ傑作ミステリー!

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstar 4.0 2020年10月11日

身の丈以上の幸せを求めた結果がこれなのか。 私は篤みたいだと思った。恵まれてるクズ。

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Readeeユーザー

(無題)

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2.7 2018年02月09日

吾輩は犬である。名前は3つある。有名なあの猫は鋭い人間観察で知られるが、吾輩にはそんな力はない。この物語を語るのは都と江口のふたり。人生を見失った現代の若者の青春物語がいま始まる。 草間都は、頭の良くない普通の女のコだ。だが、一つだけ普通でない部分があった。美しさである。都は美貌を活かして高校を出るとモデルの世界に飛び込んだ。人より少しぐらい綺麗だからって、成功できるほど世の中は甘くはない。事務所の社長から「もう若く無いんだから」と嫌味を言われるほど鳴かず飛ばずの時期が続いた都に、運命の女神がちょっとだけ微笑んだ。都と愛犬・エルとの日常生活を綴ったブログが評判になり、ライターの仕事が舞い込み始めたのである。しかし、好事魔多し。エルが死んだ。都の不注意による事故死であった。不倫相手・イベント企画会社社長とのデートに外出中の出来事であった。都は追い詰められた。愛犬家が不注意で飼い犬を死なせたとあっては、ブログの人気に翳りを落とすのは必至だ。またこの先、エル無しで原稿依頼が続くとは考えられなかった。都はエルの身代わり探しに必死になった。ペットショップはもとより、里親探しのサイト閲覧は連日続いたが、エル似の犬は見つからなかった。そんなところにブログの読者から有力な情報がもたらされた。エルそっくりの犬が見つかったのだ。飼い主のホームレスに譲渡交渉するも、あっさりと断られ窮地に陥った都は非常手段に出た。犬を強引に奪ったのだった。気が付いたホームレスは車道に飛び出し、車に轢かれて死んだ。さらに運命の歯車が狂い始めた。都の不倫相手・中年の小男が「心ここに在らず」の最近の都に男の存在を疑い始めたのだ。嫉妬に逆上した男は「犬を殺す、警察に引き渡す」と叫ぶのだった。動転した都は、気がつくと男を包丁で刺していた。 江口正道は、振り込め詐欺の出し子で糊口をしのいでいる。江口の運命が大きく狂い始めたのは、両親の死を契機にする。大学四年の時、交通事故だった。親の遺産と死亡保険金で2,000万円。江口はFX取引につぎ込んだ。博打に似た先物取引で素人が勝ち続ける訳がない。気がつくと残額は半額に。焦燥感に囚われた博打打ちが絶好のカモである事は、古今東西誰しもが知るところだ。今ではサラ金から借金、毎月の利払いと家賃に追われる日々である。怠惰な生活を送ってきた江口には、地道に生活を立て直す気力もサラ金の元金返済が可能な宅配便の仕事をこなす体力も失われていた。江口に待っていたのは、犯罪組織の最末端で捨て駒として生きる道であった。 こんなふたりを結びつけたのが、三つの名を持つ犬であった。ホームレスから奪った犬に都は、ササミと名付けた。鳥のササミが大好物だからだ。しかし、外に向かってはエルと呼ぶ。死んだエルの身代わりだからだ。都のブログを詳細に見ていた江口は、最近のエルが身代わりで、この犬がホームレスが飼っていたナナであることを見抜いたのだった。 やがて、人生を見失っていた二人に転機が訪れる。今いるところで等身大の自分に幸せを見出す事を心に誓うのだった。ふたりの心境に変化をもたらしたのが、他ならぬ「三つの名を持つ犬」だった。

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