
誰のために法は生まれた
木庭顕
2018年7月25日
朝日出版社
2,035円(税込)
人文・思想・社会
追いつめられた、たった一人を守るもの。 それが法とデモクラシーの基(もと)なんだ。 替えのきく人間なんて一人もいないーー 問題を鋭く見つめ、格闘した紀元前ギリシャ・ローマの人たち。 彼らが残した古典作品を深く読み解き、すべてを貫く原理を取り出してくる。 この授業で大切なことは、感じること、想像力を研ぎ澄ませること。 【最先端の知は、こんなにも愉快だ! 中高生と語り合った5日間の記録】 映画を観たり戯曲を読んだりのあと、中高生との対話がはじまる。 さぁ、本当の勉強をはじめよう。 「教養どころじゃなく、自分の価値観とか、ぜんぜん、すごい変わる授業」 「人生の大事な一部分になりました」--生徒 =============================================== 自由な言葉とはなにか、それはどのようにすれば機能するかをギリシャの人たちはとことん考えていた。われわれのように、憲法があるから、表現の自由で、言葉は自由だ、って、もうそこで考えを止めちゃって、ああ、自由だ自由だ、自由なはずでしょ、とかは、流石にギリシャの人たちは考えない。実質、言葉の自由が、どうしたら社会の中で実際に実現して、本当に自由なのか、この作品ばかりじゃなくて、いろんな作品にとことん書いてある。そしてこの場合も、ここでできあがった信頼関係は、新しい人間関係を作っている。新しい組織原理になって全体を解体して、ぜんぶ塗り替えちゃう。 ーー第四回(紀元前五世紀のギリシャ悲劇「フィロクテーテース」)より =============================================== 第一回 法はどちらの側にある?--『近松物語』 第二回 個人と集団を分けるものーー『自転車泥棒』 第三回 徒党解体のマジックーープラウトゥスの喜劇 第四回 見捨てられた一人のためにのみ、連帯(政治、あるいはデモクラシー)は成り立つーーソフォクレスの悲劇 種明かしのミニレクチャー 1 政治 2 都市と領域 3 デモクラシー 4 法または占有原理 第五回 日本社会のリアル、でも問題は同じだ!--現代の判例
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yamaura
法の起源、在り方に一石を投じる
著者が中学生に行った講義の書き起こしだが、内容があまりに難しく、そんな「設定」なのでは…と疑いながら読んでしまった(結果、名門ながらも中学生との生のやり取りであり、大人であるはずの自分が恥ずかしくなった) 著者の考える「法」そのものの在り方についての討議であり、内容を理解し切る事は残念ながら困難だったが、その片鱗に触れるだけでも面白いものだった。 「法」が生まれた経緯と現在の運用は必ずしも同じでなく、本質を失っていると言える(現実に即した部分もあると思う)法だから、既に定められているから、と思考停止することなく、生き方・在り方の正しさを追求したい。
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