トラフィッキング・データ

デジタル主権をめぐる米中の攻防

アン・コカス / 中嶋聖雄 / 岡野寿彦

2024年3月18日

日経BP 日本経済新聞出版

3,850円(税込)

パソコン・システム開発

中国政府に利用されている個人データ。脅かされるデジタル主権。 米国の誤った政策がもたらした、中国企業・政府による個人データ収集・利用の危険な実態。 日本にとっても他人事ではない! ○仕事や遺伝子情報、家庭生活、家計・消費・決済、投資、ゲーム・音楽などの娯楽、政治的志向に関わる個人のデータが、同意を得ることなく、政治的・金銭的な目的のために日常的に抽出されている。これらのデータは、米国のテック企業から中国へと移転され、中国政府はそのデータを利用し、世界中のデジタル主権を脅かしている。 〇成長を優先するあまり、米国の規制当局はデジタル主権に対して自由放任主義的アプローチをとり、不透明でしばしば略奪的なデータ収集の手法を容認してきた。中国政府は、営利目的で大衆を搾取する米国テック企業の長き伝統を足場としている。中国市場へのアクセスに依存する米国テック企業を通じて国力を増強しているのだ。 〇本書は、ユーザーのデータが商業的に抽出・移転されることによって、ユーザーの居住国・地域の法的システムの管轄外にある外国政府の国家戦略に不正に利用されることを意味する「データ・トラフィッキング」という概念を提唱。TikTokやフェイブックなどのSNSから、フォートナイトといった人気オンラインゲームを通じて、テック企業が個人データをどう収集しているのか、それが一国の安全保障をいかに脅かしているのかを明らかにする。 〇長年、豊富な調査研究を行ってきた中国メディア・情報テクノロジーのエキスパートが、中国企業・中国政府による個人データ搾取の驚くべき実態を多様な分野にわたり解き明かし、情報保護のあり方に警鐘を鳴らす。 〇「本書で、私は、米国のテック企業から中国へのデータの移転が、世界中のデジタル主権を脅かしていると主張する。……成長を優先するあまり、米国の規制当局はデジタル主権に対して自由放任主義的アプローチをとり、不透明でしばしば略奪的なデータ収集の手法を容認してきた。中国政府は、営利目的で大衆を搾取する米国テック企業の長き伝統を足場としている。中国市場へのアクセスに依存する米国テック企業を通じて国力を増強しているのだ」。  「中国の法律は、国内外を問わず、政府が企業データに直接アクセスすることを明文化している。……このように、米国で活動するテック企業によるデータ収集を規制しないことは、消費者を搾取するだけでなく、中国政府に力を与えることにもつながる。より明確に言えば、世界中のデータ抽出者としての中国の役割は、シリコンバレーを築いた搾取的なデータ収集の慣行に根ざした中国政府のプロセスなのだ」。(本書第1章より)

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