ビジネス教養としての気象学

隈健一

2023年9月8日

日経BP 日本経済新聞出版

1,980円(税込)

科学・技術

そもそも天気予報はどのように行われるのか? 様々な気象データはビジネスにどう活用できるか 地球温暖化の「適応策」のカギは? 元・気象研究所所長が、ビジネス読者に向けて現代の気象学、気象予測の最前線を講義する。  ◆気象は人間や社会活動にとっての基本条件であり、重要な情報でもある。気象や気候の特徴は、時間と空間・場所によって大きく変動することだ。 ◆気候や気象には自然由来と人間由来のものがある。SDGs(持続可能な開発目標)のウェディングケーキ概念図の土台には、気候変動に関する目標13が位置している。これは人為的要因による気候変動が重視されている表れだ。 ◆歴史をたどれば、農業や漁業、あるいは戦争の場面で、気象の見極めはきわめて重要だった。観天望気による天気予報は古くから行われてきた。19世紀のクリミア戦争では観天望気の限界が認識され、気象観測と天気図による近代的な天気予報技術が生まれた。20世紀になるとコンピューターや人工衛星の登場により、数値天気予報が生まれた。その結果、天気予報の精度は飛躍的に向上してきている。 ◆また、地球温暖化予測についても、真鍋先生のノーベル物理学賞で広く知られるようになった、コンピュータモデルによって、さまざまな基礎データが作成されている。 ◆しかし、こうしたデータは気象専門家以外にはまだまだ普及していない。気象予測は本質的に誤差や不確定性を含むから、データの背景を十分に理解することが大切である。本書は、現代の気象学や気象業務の全体像をビジネス読者向けに解説し、ビジネス分野におけるデータ活用の方向性を示す。

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