
生命式
村田 沙耶香
2019年10月17日
河出書房新社
1,815円(税込)
小説・エッセイ
文学史上、最も危険な短編集。自身がセレクトした、脳そのものを揺さぶる12篇。
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みんなのレビュー (4)
クレイジー沙耶香を掌編で存分に
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(無題)
圧倒的にずれている。が、一歩踏み外せばこの価値観が「当たり前」になってしまうのではないかと、背筋が寒くなる。短編集なのだがどれも狂気に満ちていて、真剣に「怖い」と感じた。 特に表題作の「生命式」は衝撃。2ページ目でもう鳥肌がたった。そのへんのホラーよりよっぽど怖いと思う。 ーーーーー以下引用ーーーーーーーーー 会議室でご飯を食べていると、ふいに後輩の女の子が箸を止めて顔を上げた。 「そういえば、総務にいた中尾さん、亡くなったみたいですね」 「えっ、ほんと?」 会議室に集まっていた5人ほどの同じ部署の女の子たちが、一斉に後輩を見た。 「脳梗塞だったみたいですよ」 私は中尾さんの人のよさそうな笑顔を思い浮かべた。ロマンスグレーの上品な男性で、よく私たちに取引先からもらったお菓子を分けてくれた。物腰の柔らかい、礼儀正しい人だった。定年で退職してからまだ数年しかたっていない。 「まだ若いのにね」 「ほんとよね。それって、いつだったの?」 「一昨日で亡くなったみたいです。今朝、会社に電話あったみたいですよ。今夜、式をやるからなるべく皆に来てほしいって、故人もそれを願ってたからって」 「そっかあ。じゃあ、今日はお昼、控えめにしとこう。デザートはやめとこっかな」 私と同期の女性が、プリンを開けないままコンビニの袋に戻した。一つ上の先輩が、肉じゃがを口に運びながら言う。 「中尾さん、美味しいかなあ」 「ちょっと固そうじゃない?細いし、筋肉質だし」 「私、前に中尾さんくらいの体型の男の人食べたことあるけど、けっこう美味しかったよ。少し筋張ってるけど、舌触りはまろやかっていうか」 「そっかあ。男の人のほうが、いい出汁が出るっていうしね」 プリンの入った袋を片付けていた同期の子が振り向いた。 「池谷さんも行くでしょ?生命式」 (略) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー コンビニ人間でも思ったけど、人間のずれを、何気ない文章で描くのがほんとうに上手いなあ。とてもおもしろかった。
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