
プリズン・ブック・クラブーーコリンズ・ベイ刑務所読書会の一年
アン・ウォームズリー / 向井和美
2016年8月29日
紀伊國屋書店
2,090円(税込)
小説・エッセイ / 人文・思想・社会
重罪犯を収容するカナダのコリンズ・ベイ刑務所で定期的に開かれる読書会。 『怒りの葡萄』『またの名をグレイス』…刑務所内での本をかこんでのやりとりを通して 囚人たちは読書の楽しみを知り、自らの喪失感や怒り、罪の意識について吐露し、 人種や宗教の壁を越え、異なる意見の持ち主の話にも耳を傾けるようになった。 1年間ボランティアとして運営に関わったジャーナリストが見た、囚人たちの変化とは。 胸に迫るノンフィクション。 1 墓地でのウォーキング 2 約束は守られた(モーテンソン『スリー・カップス・オブ・ティー』) 3 あなたは正常ですか?(ブラウン『月で暮らす少年*』、ハッドン『夜中に犬に起こった奇妙な事件』) 4 Nで始まる差別語(ヒル『黒人たちの物語*』) 5 きれいな朝焼けは看守への警告(ミストリー『かくも長き旅』) 6 夏に読んだ本 7 読書会という隠れ蓑(シェイファーほか『ガーンジー島の読書会』) 8 グレアムとフランクの読書会(ギャロウェイ『サラエボのチェリスト』) 9 この環境に慣らされてしまったのさ(ジャンガー『戦争*』) 10 虐待かネグレクトか(ウォールズ『ガラスの城の子どもたち』) 11 今日一日を生きなさい(スタインベック『怒りの葡萄』) 12 刑務所のクリスマス(オー・ヘンリー『賢者の贈り物』『警官と讃美歌』、エリオット『賢者の旅*』) 13 三人の読書会(ラーソン『第三帝国の愛人』、グラッドウェル『天才! 成功する人々の法則』) 14 島の暮らし(レヴィ『スモール・アイランド*』) 15 もうひとりの囚われびと(ヒルシ・アリ『もう、服従しない』) 16 傷を負った者(ドイル『ポーラーードアを開けた女』) 17 容疑者たち(ボイド『ありふれた嵐*』、スワループ『6人の容疑者』) 18 善は悪より伝染しやすい(アッカーマン『ユダヤ人を救った動物園』) 19 史実を再構成する(アトウッド『またの名をグレイス』) 20 最後の読書会(『またの名をグレイス』ふたたび) 21 巣立っていったメンバーたち *は邦訳のない作品
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読書会の素晴らしさ
海外では、読書会が頻繁にあるらしい。 日本でも最近こそ知名度が出てきているものの、まだまだだよなぁと思う。 この本は、ある刑務所内で読書会を主催する方のドキュメントだ。まず、刑務所内での主催というところに驚かされる。 そして、主催の女性陣のきめ細やかな対応や柔軟性、異なる意見にも懐が深い様が感慨深い。日本では感想ですらも自由に言えない空気感があるというのに。 読書会を通して成長していくのは、コミュニケーションを通して成長するのと同義ではなかろうか。 本を読み、作者が意図するところや感銘を受けたところを素直に話す。共感する人もいれば異論を唱える人もいる。みんなが正しく、肯定される。そのための場が読書会だ。感じたことに間違いはないが、勘違いや思い込みの部分はやんわりと諭される。 そんな柔らかな交流があってこそ、一度は犯罪を犯したとはいえ自身を振り返り、反省し、更生の一助となるのかもしれない。 このご時世なのでオンラインの読書会に参加してみようか、と思わせてくれる良書だった。
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橘薫
読書会の素晴らしさ
海外では、読書会が頻繁にあるらしい。 日本でも最近こそ知名度が出てきているものの、まだまだだよなぁと思う。 この本は、ある刑務所内で読書会を主催する方のドキュメントだ。まず、刑務所内での主催というところに驚かされる。 そして、主催の女性陣のきめ細やかな対応や柔軟性、異なる意見にも懐が深い様が感慨深い。日本では感想ですらも自由に言えない空気感があるというのに。 読書会を通して成長していくのは、コミュニケーションを通して成長するのと同義ではなかろうか。 本を読み、作者が意図するところや感銘を受けたところを素直に話す。共感する人もいれば異論を唱える人もいる。みんなが正しく、肯定される。そのための場が読書会だ。感じたことに間違いはないが、勘違いや思い込みの部分はやんわりと諭される。 そんな柔らかな交流があってこそ、一度は犯罪を犯したとはいえ自身を振り返り、反省し、更生の一助となるのかもしれない。 このご時世なのでオンラインの読書会に参加してみようか、と思わせてくれる良書だった。
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