書物の破壊の世界史ーーシュメールの粘土板からデジタル時代まで
フェルナンド・バエス / 八重樫克彦 / 八重樫由貴子
2019年2月28日
紀伊國屋書店出版部
3,850円(税込)
人文・思想・社会
「もはやわれわれの記憶は存在しない。 文字や法律の揺りかご、文明発祥の地は焼失した。 残っているのは灰だけだ」 (2003年、バグダード大学教員のことば) 「55世紀もの昔から書物は破壊されつづけているが、その原因のほとんどは知られていない。 本や図書館に関する専門書は数あれど、それらの破壊の歴史を綴った書物は存在しない。何とも不可解な欠如ではないか?」 シュメールの昔から、アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰、ナチスによる“ビブリオコースト”、イラク戦争下の略奪行為、電子テロまで。 どの時代にも例外なく書物は破壊され、人類は貴重な遺産、継承されるべき叡智を失ってきた。 ことは戦争や迫害、検閲だけでなく、数多の天災・人災、書写材の劣化、害虫による被害、人間の無関心さにおよぶ。 幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が、やがて膨大量の文献や実地調査により、世界各地の書物の破壊の歴史をたどった一冊。 ウンベルト・エーコ、ノーム・チョムスキー絶賛! 《目次》 【第1部 旧世界】 第1章 古代オリエント 第2章 古代エジプト 第3章 古代ギリシャ 第4章 アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰 第5章 古代ギリシャ時代に破壊されたその他の図書館 第6章 古代イスラエル 第7章 中国 第8章 古代ローマ 第9章 キリスト教の過激な黎明期 第10章 書物の脆さと忘却 【第2部 東ローマ帝国の時代から19世紀まで】 第1章 コンスタンティノープルで失われた書物 第2章 修道士と蛮族 第3章 アラブ世界 第4章 中世の誤った熱狂 第5章 中世スペインのイスラム王朝とレコンキスタ 第6章 メキシコで焼かれた写本 第7章 ルネサンス最盛期 第8章 異端審問 第9章 占星術師たちの処罰 第10章 英国における焚書 第11章 厄災の最中で 第12章 革命と苦悩 第13章 過剰な潔癖さの果てに 第14章 書物の破壊に関する若干の文献 第15章 フィクションにおける書物の破壊 【第3部 20世紀と21世紀初頭】 第1章 スペイン内戦時の書物の破壊 第2章 ナチスのビブリオコースト 第3章 第二次世界大戦中に空爆された図書館 第4章 現代文学の検閲と自主検閲 第5章 大災害の世紀 第6章 恐怖の政権 第7章 民族間の憎悪 第8章 性、イデオロギー、宗教 第9章 書物の破壊者 第10章 イラクで破壊された書物たち 第11章 デジタル時代の書物の破壊
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toruo
(無題)
なんとも魅力的なタイトルに心惹かれ手にとってみた。文字を発明し保存するようになってから今日まで我々人類がいかに書物を破壊してきたか、ということで凄まじい量の破壊の事例が網羅されている。大きく分けて古代、中世から十九世紀、二十世紀から現代に分けられて入るのだけどもとにかく事例の量に圧倒されてしまう。大雑把に言うと、征服戦争で勝者による略奪の一貫で破壊される、自然災害などある種の不可抗力によって破壊される、思想を排除するために破壊される、の三通りくらいなのかな、という印象。古代エジプトはアレクサンドリアに大規模な図書館があったというのは知っていたのだけども古代から現代に至るまであらゆる文明がこんなに図書館を建設していたということに驚いた。ローマでは図書館利用規定みたいな石碑も発見されているらしい。作者がベネズエラの人で図書館学の権威~イラク戦争後の被害状況評価にも派遣されている~ということもあるのか中東、欧州、南米の事例が多く、アジアはほんの少しだけ触れられているだけというところは少し気になるけども記述が簡潔でとても読みやすく興味深い内容。破壊については戦争よりもむしろ思想、特に宗教による破壊~キリスト教原理主義が圧倒的~が最も徹底的でタチが悪いなという印象。本好き、歴史好きの人には特におすすめしたい内容でした。非常に面白かった。
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