Rで学ぶデータサイエンス(14)

金明哲

2013年4月25日

共立出版

3,850円(税込)

科学・技術

本書では実際の政治学論文の分析結果の再現(replication)を重視している。統計分析の教科書、とりわけ初歩的な手法を扱う教科書では、例として仮想的なデータを使用したり、実際のデータを使用するにしても現在の研究水準からしてあまり重要ではないものを使用したりすることが多い。しかし、これは必ずしも読者、とりわけ初学者の関心を引くものではない。また学んだ手法をいざ実際の研究において使おうとしても、どのようにしてよいかわからないということが多々見られるように思う。そこで本書では、ウェブ上で誰もが入手できるデータを用いて、実際に学術誌に出版された論文の結果を再現することで、手法についての理解を深める。  第二に本書では、分析結果をわかりやすく解釈する方法としてのグラフィックスに重点を置く。日本の政治学では伝統的に計量分析はマイナーな手法であり、そのテクニカルな側面もあって未だ広く受け入れられているとはいえない。それは、部分的には計量分析を使用する政治学者の責任でもある。通常、計量分析の結果を提示する際には、統計モデルの独立変数のパラメータの推定値とその統計的有意性(星の数)を議論するが、これは統計学のバックグランドがない者にとっては非常に無味乾燥で意味不明なものであった。これでは、政治学の中での計量分析に対する誤解や偏見を助長し、研究者間の相互交流を阻害するばかりである。そこで本書では、統計学のバックグラウンドが特にない者に対して統計分析の結果を分かりやすく提示するテクニックとしての図の作成を重視する。 第1章 政治学における計量分析の役割 1.1 リサーチクエスチョン 1.2 理論と仮説 1.3 仮説の検証 1.4 計量分析の限界 1.5 政策科学との関連 1.6 面白い研究とは 第2章 統計的推測の考え方:内閣に対する国民の支持 2.1 日本の有権者の内閣支持態度 2.2 統計的推測とは何か 2.3 割合に関する推定 2.4 R ソースコードと出力の記録 2.5 決定的選挙の検証:Burnham(1970) 第3章 回帰分析1:政府のパフォーマンスと社会関係資本 3.1 相関係数 3.2 単回帰分析 3.3 ダミー変数、統計的統制 第4章 回帰分析2:アメリカ大統領選挙の予測 4.1 2008年アメリカ大統領選挙の予測 4.2 交差項 4.3 最小二乗法の前提条件 第5章 パネルデータ分析:国家間の比較政治分析 5.1 誤差項の分散不均一性と自己相関の問題 5.2 パネル修正標準誤差+ラグ付従属変数 第6章 ロジット:政治運動への参加 6.1 なぜ最小二乗法が使えないか 6.2 ロジット 6.3 最尤推定法の考え方 6.4 反政府運動への参加 6.5 forによるループ 6.6 最尤推定量の特徴 第7章 順序ロジット:第三国による国家間武力紛争への介入 7.1 武力紛争に対する第三者の直接的介入の要因 7.2 forによるループ 第8章 多項プロビット/ロジット:3人の候補者の選挙における投票選択 8.1 1992年アメリカ大統領選挙における有権者の候補者選択 8.2 無関係な選択肢からの独立性の問題 8.3 多項ロジットによる分析 8.4 推定後の解釈 第9章 イベントヒストリーモデル:有志連合からの離脱 9.1 有志連合からの脱退の原因 第10章 マルチレベルロジットモデル:ヨーロッパの極右政党への投票 10.1 コンテクストの個人に対する影響 10.2 ランダム切片モデルの推定 10.3 ランダム効果の図示 第11章 計量政治分析のこれから:「ゴミ缶回帰」を超えて 11.1 実験室における因果効果の検証 11.2 回帰分析における統制変数の使用の問題点 11.3 学ぶべき教訓と新たな方向性 参考文献 索 引

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