複素解析トレッキング

新しい解析学の流れ

楠 幸男 / 西田 孝明 / 磯 祐介 / 木上 淳 / 宍倉 光広

2023年2月27日

共立出版

3,300円(税込)

科学・技術

複素解析は数学の一つの分野であるが、それが“数”に根ざすものとして人類が積み重ねてきた貴重な文化とも言え、そして現在も新しい開拓や進展が続いている。その関係領域を含めて眺めると実に広大であり、有名な未踏峰のリーマン予想という連峰をはじめとした高い山々があちこちに聳え、一方で神秘的な森や美しい高原も広がっている。 本書では、高山のふもとに入って美しい風景を眺め、時には新しい小路や知らない花を見つけて楽しみながらトレッキングするがごとく、複素解析の世界を解説していく。まず、オイラーに端を発する指数関数、ガンマ関数、ゼータ関数の研究を経てリーマンに至るまでの体系について、リーマンのゼータ関数とその周辺に関する話題を、複素解析的に厳密に、そしてできるだけ丁寧に紹介する。次に、現代ではグリーン関数と共に複素解析学における基本関数である調和測度について、その性質、応用やそれらの相互関係、ポテンシャルとの関係などについて、平面領域に限って少し詳しく解説する。邦書ではあまり見かけないネバンリンナの二定数定理についても少し丁寧に紹介する。最後に、多元数系の中で複素数がもつ著しい特徴を示す「フロベニウスの定理」についての証明を述べる。 複素解析のいくつかの主要な結果を軽妙に味わうことができる、「トレッキング」の名にふさわしい1冊である。 第I部 リーマンのゼータ関数とその周辺ーオイラーからリーマンへー 第1章 ベルヌイ多項式 1.1 定義と基本的性質 1.2 積分表示 1.3 ベルヌイ数 1.4 フーリエ展開 第2章 ガンマ関数 2.1 ベータ関数との関係 2.2 複素ガンマ関数 2.3 対数的凸性 2.4 z → ∞のときの漸近挙動 第3章 リーマンのゼータ関数 3.1 リーマンの積分表示 3.2 関数等式 3.3 素数との関係 3.4 ゼータ関数の零点 3.5 補遺:テータ関数との関係 第4章 付録 4.1 リーマン・マンゴルトの定理の証明 4.2 整関数の位数と零点 4.3 複素微分演算子 第II部 調和測度とその周辺 第1章 調和関数 1.1 正則関数との関係 1.2 基本的な性質 1.3 ディリクレ問題 第2章 調和測度I 2.1 調和測度 2.2 二定数定理 2.3 応用:正則関数の増大度と境界挙動 2.4 ディリクレ積分 2.5 補遺:劣調和関数について 第3章 調和測度II 3.1 定義 3.2 調和測度0の集合 3.3 複素解析における基礎定理の拡張 第4章 グリーン関数とポテンシャル 4.1 グリーン関数 4.2 一般領域のグリーン関数 4.3 対数ポテンシャルと容量 4.4 補遺:容量に関連した量 4.5 補遺:単位円周上の弧の容量 4.6 補遺:ポテンシャルの連続性 第5章 等角写像への応用 5.1 準備 5.2 標準領域への等角写像 5.3 モジュラス 第III部 多元数系と複素数の特徴づけ 第1章 多元数系と複素数の特徴づけ 1.1 4元数の導入 1.2 除法の定義 1.3 主単位 1.4 多元数と方程式 1.5 フロベニウスの定理 1.6 補足:ハミルトンの4元数系について

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