
パンデミックの倫理学
緊急時対応の倫理原則と新型コロナウイルス感染症
広瀬 巌
2021年1月16日
勁草書房
1,980円(税込)
医学・薬学・看護学・歯科学
パンデミック対策は何を目的とし、どのような基準と論理で行われるべきなのか? WHOの倫理指針の作成に携わった経験から分析。 医療資源が限られている状況下で、誰の治療と予防が優先されるのか? 隔離や移動の制限といった自由の制約はどこまで許されるのか? 国際的な倫理学者で、WHOでパンデミックの倫理指針を考える部会に参加した経験を持つ著者が、新型コロナウイルスの世界的流行を通して表面化した倫理的な問題をどう考えるべきかの筋道を示す。 はしがき 第一章 パンデミック対策は何を目的とすべきか? 1 競合する倫理理論と常識的判断 2 どうしてパンデミック対策に倫理指針が必要なのか? 3 救命数最大化と帰結主義 4 帰結主義を批判するとはどういうことか? 5 非帰結主義は救命数最大化を擁護できるか? 6 くじによる抽選 7 個人的属性と間接的便益 第二章 公平性と透明性 1 公平性の原則 2 本当に救命数を最大化するべきか? 3 救命数最大化は公平か? 4 救命数最大化と生存年数最大化の関係 5 透明性の原理 6 結 論 補論 「命の選別」について 第三章 パンデミック下の医療資源の分配 1 パンデミック対応策の倫理指針は誰を対象にしているか? 2 誰に人工呼吸器を優先するか? 3 他の重症者を救うために人工呼吸器を外すべきか? 4 誰にワクチン接種を優先するか? 5 誰に抗ウイルス薬を優先するか? 6 ワクチンの国際的分配 第四章 基本的な権利と自由はどこまで制限されるべきか? 1 人権とシラクサ原則 2 自由の制限についての五つの基準 3 三種類の「隔離」 第五章 COVID-19パンデミックの哲学分析 1 二〇二〇年の新型コロナウイルス感染症の経験 2 PCR検査と条件付き確率による推論 3 反事実的条件法による思考(1)─何が効果的か? 4 反事実的条件法による思考(2)─超過死亡 5 数理モデル予測の批判の仕方 結 語 注 索 引
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toruo
(無題)
タイトルからわかる通りパンデミック対策の倫理学からのアプローチについてまとめたもの。コロナ禍を受けてまとめられたものなのかと思ったら元々はインフルエンザのパンデミック対策をWHOがまとめる際にメンバーとして招致され議論した内容をベースとしているものらしい。その意味ではWHOも今回非難されているけれども平時からそれなりに仕事をしていたのだなということが分かった。倫理学からのアプローチというのはどういうことかというと例えば命の選択をしなければならない事態になった時にどういう判断をすることが正しいのか、ということで本作も前半は倫理学の一般的な説明に充てられておりわかりやすい。科学全能の時代に宗教や哲学など意味がないという人がいるがとんでもない。救命装置をどちらの人に優先的に割り当てるのか、ワクチンはどういう順番に適用していくのが正しいのか、治療薬は、など医療現場が判断を迫られるのが酷な事項についてはこのように規範を決めておくのは有効だろう。移殖などの優先順位には倫理学に基づくルールが適用されていると聞いたことがあるがパンデミックについても準備がされていたことに驚いた。ロックダウンし都市閉鎖などをして感染拡大を防ぐ、というのが医学界の一般的な意見だろうし全く生活を規制するなというのが経済界の一般的な意見とするとそのような相反する意見を汲んで制約ある中でベストな選択を行うのが政治の仕事と思うのだが既にある程度のガイドラインがあるのであればこれに基づいて今回はこういう判断をするのだ、と説明するどけで良いのではないかと思った。どう見てもその場しのぎで、やってます感のためだけにいきあたりばったりに見える今の状況も少しは変えられるのではないかと思ったのだがなぜやらないんだろう…ガイドラインそのまま使うのがあれなら哲学者とか集めて諮問委員会みたいにしてもよかったかも。発生当初ならいざしらずもうけっこう時間経ってるのに不思議だ、という思いを抱きました。長くなってしまったな…。
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