中国の新聞管理制度

商業紙はいかに共産党の権力を受け入れたのか

工藤 文

2024年4月1日

勁草書房

5,500円(税込)

人文・思想・社会

市場経済が進んだ中国で、なぜ商業紙は政府や共産党を支持し続けるのか。検閲だけでは説明できない、複雑なカラクリを解き明かす。 中国では改革開放によって新聞の商業化が進んだのに、商業紙は中国共産党を批判するのではなく、支持し続けている。本書は主管・主辦単位制度という政策に着目することで、中国共産党による新聞管理のメカニズムを明らかにし、権威主義国における市場と権力の結び付きをも浮かび上がらせる。 はしがき 用語の説明 序章 「党がメディアを管理する原則」の虚実  1 本書の目的と問題意識  2 先行研究が論じてきたこと  3 本書のアプローチと独自性  4 分析対象と手法  5 本書の位置づけと意義  6 本書の構成 第1章 中国のマス・コミュニケーションを研究する視点  1 非民主主義国家を対象にした研究  2 コミュニケーションの批判的政治経済学  3 本書の分析枠組みー制度を通じた資源の配分による統制 第2章 商業化が党の新聞管理に与えた変化  1 民間資本の排除と党の管理への一元化  2 行政管理の復活とメディア・グループ化  3 17号文献の制定による資本政策の転換  4 新聞の所有者は誰か 第3章 主管・主弁単位制度の形成過程と構造  1 管理主体の明確化(1950年代)  2 制度の法規化(1980年代から2000年まで)  3 制度の維持と非公有資本の包摂(2001年から)  4 70年間にわたる制度の発展 第4章 『新民晩報』にみる党と新聞のパトロン・クライアント関係  1 上海『新民報』に対する国有資本の投入と党への従属  2 『新民晩報』の自立とその制限  3 上海報業集団におけるパトロン・クライアント関係  4 党と新聞の関係を決定づける主管・主弁単位制度 第5章 『新京報』にみる主管・主弁単位の影響  1 自己検閲とは何か  2 フレーミング論と操作仮説の導出  3 『新京報』『南方都市報』の汚職報道に対する量的テキスト分析  4 報道フレームの変化に対する重回帰分析  5 『新京報』は何を報じなかったか 第6章 『新民晩報』自立化の検証  1 新聞のクレジットを用いた内容分析  2 1946年から2016年までのクレジットの変化  3 二元的な報道体制ー党の宣伝と娯楽化 終章 党の支配を正統化する商業紙  1 分析結果のまとめ  2 党の支配を正統化するメカニズム  3 本書の限界と今後の研究課題 補遺1 出版単位の主弁単位と主管単位の職責に関する暫定規定 補遺2 量的テキスト分析の手続き詳細 補遺3 第6章データ詳細 あとがき 引用・参照文献 事項索引 人名索引

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