
著作物を楽しむ自由のために
最高裁著作権判例を超えて
岡 邦俊
2016年6月21日
勁草書房
4,400円(税込)
人文・思想・社会
著作物の受け手、消費者としての市民の自由である「著作物を楽しむ自由と権利」の視点から、近年の最高裁判決、下級審判決を取り上げ、その著作権法解釈を憲法上の基礎概念によって批判的に検証する。現在の著作権法制に表現の自由、消費者法保護の観点から鋭くメスを入れ、新規な座標軸で研究、実務に注目される一書。 序章 著作物を楽しむ自由とは はじめにーープールの底のミッキーマウス 1 著作物を楽しむ自由ーー消費者法からの視点 2 「カラオケ法理」の誕生・展開・消滅 第1章 「表現の自由」と「著作物を楽しむ自由」--「パロディ写真」事件 はじめにーーわが国著作権判例史上の最重要事件 1 東京地裁判決から第1次最高裁までーーパロディとフェア・ユース 2 隠れた争点ーー大量の複製物の1つの改変 むすびーー2つの自由の交錯 第2章 プレイヤーの「ゲームを楽しむ自由」--「ときめきメモリアル」事件 はじめにーー複製物商品と同一性保持権 1 メモリーカードによるゲーム展開のルール、手順の変更 2 大阪地裁判決ーーパラメータの数値設定はゲームのストーリーを改変しない 3 大阪高裁判決ーー「ゲーム映像」ともいうべき複合的著作物 4 最高裁判決ーープレイヤーはゲーム製作者が創設した「主人公」である 5 各判決の問題点ーープレイヤーはゲームの「主人公」か 6 本最高裁判決の下級審判決への影響ーー類似事案での援用 7 本最高裁判決の擁護論についてーーデータと著作権保護の範囲 むすびーープレイヤーの「遊びの自由」 第3章 「アクセス権」と「編集権」の相克ーー「NHK女性法廷番組」事件 はじめにーー裏切られた期待 1 東京地裁判決ーーNHKの行為は「放送番組編集の自由」の範囲内 2 東京高裁判決ーー自己決定権に基づき番組から離脱する自由 3 最高裁判決ーー番組への期待・信頼は法的保護の対象とならない 4 各判決の問題点 むすびーーすり替えられた問題点 第4章 先端技術の開発者の刑事責任ーー「Winny」刑事事件 はじめにーー無罪判決は技術開発を刑事罰から解放したか 1 ファイル交換ソフトとは 2 京都地裁判決ーー不特定多数者にインターネットで提供すれば幇助犯を構成 3 大阪高裁判決ーー違法使用を勧めて提供しなければ幇助犯は成立しない 4 最高裁決定ーー著作権法違反罪の幇助犯の故意を欠く 5 本最高裁決定の問題点ーー「罪刑法定主義」、「一事不再理」の観点から むすびーー合憲性審査権はどこへ
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