「その日暮らし」の人類学

もう一つの資本主義経済

光文社新書

小川さやか

2016年7月14日

光文社

814円(税込)

人文・思想・社会 / 新書

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Tojo Hiroyuki

人間はその日暮らし

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3.5 2022年06月22日

未来のために資産や経験を積み重ねていく生き方が僕の住む世界の常識。でもそうじゃない世界もあるんだな。 “生きているということだけを根拠としているような余裕と自信” “偶発的な出会いを契機に何度も日常を行き直す術” とあるような世界。この本の内容では経済環境があってそういう生き方を結果しているように感じたけど、どうあれ今を生きている感覚が僕よりは圧倒的に強いんだろう。 20220616 今の時間を投資して将来のリターンを期待する。小賢しい奴ほどそう。ヒー、イズ、ミー。 もちろん全て今にベットする生き方を選ぶ気はないし、日本社会でそんな生き方はたぶん不幸せ。でも、その日暮しの価値を認めることで見えてくる瀬もあるのだ。 ー最小の努力で生計を立てるトングウェ人。 ポリシー優先の経済活動なのかなと。集団より独立心が強い、計画性には否定的、組織化嫌いとか。 経済的に貧しい国のままであっても、構成員たちが企業のうに組織化され部品のように扱われるより幸せなのかも。 何より「その日暮らし」こそ生を実感できる生活様式なのかも。 ー168 文化的な多様性や経済的な不均衡が、いかに折衝されながら、アナーキーでありつつも法的には違反しているが道義的には許せる第三空間の創出していくか ー200 負債論で言及されていた「借り」を作り合うことでつながるネットワーク。借りを回すシステム。俺は借りも貸しもつくってない体でいる。しかしそれは無自覚なだけ。借りのない生き方は無理。それを覆い隠した現象、それは金銭的対価を払うってことかな。 裏切られないと思って信用、裏切られてもいいやと思って信用。後者が本書の人たち。裏切られても、いつか挽回の可能性があれば無問題。 不安を取り除こうとする主流派の力学。それに対抗するその日暮らし的な生き方。 自分たちの生の領域である自律的な経済領域。

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