奸臣狩り2版

夏目影二郎始末旅

光文社文庫

佐伯泰英

2013年2月28日

光文社

628円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

老中水野忠邦が断行する天保の改革は、江戸の町と民を疲弊させていたー。夏目影二郎は、湯治先で国定忠治の危難を救った後、江戸に戻り、父・常磐秀信の大目付失脚を知った。背後に水野の命を受けた妖怪・鳥居の姿が…。影二郎を襲う顔を猿面冠者に描いた奇怪な一団、さらには妖しい比丘尼の集団!影二郎の南蛮外衣が華麗に舞い、必殺の豪剣が鞘走る。

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2.5 2018年01月29日

夏目影二郎始末旅シリーズ第九弾。二つの物語がある中編連作といった趣。 まずは、草津に着いた影二郎一行。愛犬のあかも一緒だ。だが、八州廻りの八巻玄馬が草津に木戸を設けており、不穏な空気である。それは、国定忠治一行が潜入しているという情報によるものであった。 国定忠治一行はかつての勢いがなくなり、追いつめられている節がある。様々な経緯で国定忠治とは持ちつ持たれつの関係にある影二郎は複雑な心境である。 そうした不穏な空気の中、影二郎一行は湯治を楽しむ日々が続く。若菜は土地の食べ物の作り方を教わり、江戸に戻って嵐山の再営業の際に役立てようと考えているようだ。 国定忠治を追っている八巻玄馬の一行は、矢板の寅五郎一味と、盲目の剣士・西念寺一傳を連れてやってきている。この八巻玄馬は、国定忠治一行の捕縛のみならず、かつて八州狩りと称する手練れの剣客を殺すつもりであるという。八巻玄馬は、かつて影二郎が粛清した日野初蔵こと八巻初蔵の弟であった。 物語は、天保の改革がいよいよ本格的に始まり、世の中が不景気のどん族に落とされる時代。現代でいえば、緊縮財政を行うわけだが、これが逆に徳川幕府の弱体化を加速させる結果になってしまうのは皮肉なものである。 沿岸には海外の船が姿を見せ始め、隣国の清では阿片戦争が起き、イギリスに蹂躙されようという時代でもある。 遅かれ早かれ世界の潮流に飲み込まれ、開国をせざるを得ないのだが、この時期に鎖国を止めて、貿易を解禁していたら、徳川幕府はどうなっていたか。 草津での逗留を終え、江戸に戻ると、父の秀信が御役後免になり屋敷に蟄居しているという。鳥居耀蔵による策謀のおかげである。 影二郎は父の危急を救うために、老中水野忠邦に面談する。水野忠邦も影二郎に用事があるようで、影二郎を待っていた。互いに弱みを持つ間柄。影二郎は水野忠邦の命を受ける代わりに、父・秀信を助けることを約束させる。

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