鵺女狩り

長編時代小説

光文社文庫

佐伯泰英

2007年10月31日

光文社

628円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

天保十三年の夏が過ぎた頃、夏目影二郎は、筆頭大目付となった実父・常磐秀信から遍路旅に誘われた。伊豆へと向かった影二郎一行は、途中、怪しい修験者の一団や野猿の群れ、さらには偽遍路の七人集と次々に対決する。札所を巡って下田を目指す父子旅に、謎の煙草売りが同行。やがて、千年の闇より這い出てきた異形の難敵・刑部鵺女一統が襲いかかってきた。

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2.3 2018年01月29日

夏目影二郎始末旅シリーズ第十二弾 舞台は伊豆のお遍路。立ちはだかるのは妖怪の鵺(ぬえ)。 鵺というのは、顔は猿、胴体は狸、手足は虎、尻尾は蛇でトラツグミのような声で鳴くという伝説の妖怪である。鳴き声は聞く者の心を蝕み、取り殺し、その魂を喰らうと言われている。この鵺を仕切っているのが刑部鵺女という妖怪である。 天保十三年。江戸では老中水野忠邦の天保の改革に対する怨嗟の声が溢れていた。 夏目影二郎の父・常盤秀信は大目付に加えて道中奉行を兼務することになった。筆頭大目付になったのだ。その秀信が伊豆八十八箇所のお遍路に出るという。影二郎に同行を求めた。影二郎は父に何の目的があるのかをいぶかしがった。 最初に八十八番札所の修禅寺に向かうことにした。この時点で、すでに監視の目がついていることを影二郎は気づいていた。道の途中で怪しい修験者の一行に出会い、山猿の襲撃にも遭遇した。こうした危難を乗り越えたあと、杢助と名乗る煙草売りと知り合いになった。 修禅寺に着いた。すでに待ち人がいた。秀信はその人物と会って、次に一番札所の嶺松院に向かうことになった。 その次は三十四番札所、三養院に向かう。天城峠を越した向こうである。 煙草売りの杢助と再び合流することになった。杢助は影二郎と父・秀信の身分を承知していた。この杢助は一体何者か。だが、天城峠越えは杢助の先導に任せることにした。 この途中で、奇妙な生きものに襲われた。鵺である。鵺の放つ紫色の液体を浴び、影二郎は二昼夜うなされることとなった。 来春、将軍家の日光社参が予定されている。秀信の筆頭大目付就任は社参に関わることなのか。その点は不明だが、秀信を推薦したのは、水野忠邦と老中・海防掛真田信濃守幸貫だった。その真田信濃守幸貫に呼ばれて、こういわれた。社参は積極的に賛成を示すものではないが、もはやここまで来た以上無事に済ませたい。その上で、秀信の倅・影二郎が国定忠治と懇意であることを聞き、影二郎から国定忠治に騒ぎを起こしてくれるなと釘を刺された。 秀信はこうしたことを語ったあと、今回の旅の真の目的を影二郎に告げた。列強各国から国を守るために初めての海防会議を持つことにしたのだ。鳥居忠耀が目を光らせているために、このような遍路姿をしたというわけだ。 秀信の仲間が襲われたことが判明した。どうやら鵺に襲われたらしい。鵺の一統を率いるのは刑部鵺女という、京都御所の鬼門、猿ヶ辻という築地塀に千年を越えて棲む老女の妖怪だ。

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