ストロベリーナイト
光文社文庫 ほー4-1
誉田 哲也
2008年9月9日
光文社
733円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。人気シリーズ、待望の文庫化始動。
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(無題)
「 インビジブルレイン」を読んでいて、あれ、この本読んだことあるぞ、と思い当ったのは100ページを過ぎてからだ。こんな事もあろうかとブクレコに記録しているのに。トホホである。いよいよアルツハイマーか。いや、アルチューハイマーかも知れない。 さて、気を取り直して姫川玲子シリーズに再挑戦。先ずは第1巻からとストロベリーナイト。姫川玲子は警視庁捜査一課殺人犯捜査係に所属する警部補である。身分が警部補であれば主任となり、部下も四人つく。石倉保巡査部長、47歳。菊田和男巡査部長、 32歳。大塚真二巡査、27歳。湯田康平巡査、26歳である。 そして事件の概要はこうだ。都内の公園にあるため池近くの植え込みで、ビニールシートに包まれた男性の他殺体が発見された。姫川玲子は持ち前の勘で、これが単独の事件ではなく、他の被害者がため池に遺棄されていると推理する。そして、ため池からは推理通りに別の遺体が発見された。捜査を続ける中で、被害者達が共通して急に積極的な性格になったこと、毎月第2日曜に秘密の行動をとっていたことが明らかになる。 さらに、戸田漕艇場で白骨化した9体の死体が発見された。俄然、連続殺人猟奇事件へと発展した。さらに、驚くことに姫川の部下・大塚刑事が殺害される事態にまでなる。大塚が殺されたのは、独自の捜査活動の結果であった。大塚が追っていたのは「ス ロベリーナイト」であった。 本書を面白い作品に仕上げている第一の要因は、年若い女性が刑事として殺人事件に取り組み、事件解決に成果を挙げるストーリー展開にあることは論を待たない。しかもこの女性刑事は警部補の身分で主任刑事、強面の刑事を4人部下に持つという落ち着きの悪い中を微妙にバランスをとる危うさに読者は魅了される。読者をハラハラドキドキさせるのは、何もスリリングでスピードにあふれた展開ばかりとは限らない。優れた敵役の設定は昔からの定番だ。そんな期待に一身に担って登場するのが悪徳刑事ガンテツこと勝俣である。姫川の捜査手法が閃きに負うことが大きいのに対して、ガンテツは徹底した実証主義である。これ一つとっても正反対な二人が事ある度に半目しあうのも当たり前である。その度に読者はヤキモキさせられるのだ。最後に姫川が刑事を志した動機が本書の中盤で明かされているが、この辺りは涙なしには読むことが出来ない。つまり、本書は涙あり、ユーモアあり、スリルありだ。面白くないはずがない。
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Mie
のめり込む作品
小説は好きだが、その世界に入っていくまでに、いつもそれなりの時間を要する。今回は、それが一切なかった。1ページ目を読み始めてすぐに、ストロベリーナイトの世界にのめり込んだ。 展開が速い。速いが厚みがある。一人一人の人物設定がかなり緻密で、まるで目の前で登場人物が動いているかのよう。後書きを読んで知ったが、作者の誉田さんは人物設定に実在の俳優を当て込むらしい。 だからか。非常に人物が生き生きとしている。そこに、息づいているかのよう。 1日で読了できず、次の日に持ち越したが、待ちわびすぎて早起きして読了したほど。 最高だった。
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