重力の虹(1)
文学の冒険
トマス・ピンチョン / 越川芳明
1993年3月31日
国書刊行会
3,135円(税込)
小説・エッセイ
キーンという音が大空をよぎる。V2ロケットの来襲だ。第2次世界大戦も末期のロンドン、アメリカ軍中尉タイローン・スロースロップは、ドイツ軍の猛爆撃もなんのその、ガールハントに余念がない。ところが、彼の行動をひそかに監視している者がいる。彼らの調査によれば、スロースロップが女とセックスした場所へ、後刻、必ずV2ロケットが落ちるというのだ。スロースロップの勃起とロケットの軌跡は果たして関連があるのか?この現象をめぐって当局の研究室で議論される途方もない仮設の数々と、次第に明らかにされるスロースロップの出生の秘密。舞台はロンドンからリヴィエラ、チューリヒ、さらに連合軍占領下のドイツへと移り、巨大な見えざる手に翻弄されるスロースロップのさすらいの旅が始まる。脱線に次ぐ脱線、錯綜する人間関係、時間と空間を越え展開する物語。
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