酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行(いき)
文学の冒険
ヴェネディクト・エロフェーエフ / 安岡治子
1996年11月30日
国書刊行会
2,136円(税込)
小説・エッセイ
「クレムリン、クレムリン、と誰もが言う。クレムリンのことはあらゆる人から話には聞くが、自分で実際に見たためしは一度もない。もう何度となく、一千回も酔払って、それとも二日酔いで、モスクワを北から南へ、西から東へ、端から端まで突っ切ってみたり、ただ無茶苦茶に歩き回ったりしたのに、クレムリンはただの一度も見たことがない。…」旧ソ連の暗闇を酔どれヴェーニャがさまよい歩く。モスクワ駅から列車に乗り込む彼が目指すは、麗しき女とかわいい幼な児が待つ光あふれるペトゥシキ終着駅。奇妙きてれつな乗客たちと、妙ちきりんな酒を酌み交わし、文学、哲学、恋愛談義に花咲かせつつ、ペトゥシキの光を待ち望む。果たして彼がたどり着くのは…。旧ソ連の地下出版で大ベストセラーとなり、世界十数カ国で翻訳されている現代ロシア文学を代表する傑作。
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