荷風と戦争

断腸亭日乗に残された戦時下の東京

百足光生

2020年3月23日

国書刊行会

3,960円(税込)

人文・思想・社会

作家永井荷風の「断腸亭日乗」の昭和15年から20年3月までの記録を元に戦時下の東京を描き尽くす。戦争、世相、食糧事情、風俗譚、文学活動と多岐にわたる視点で甦らせた東京のあの頃。 荷風は何をしていたのか、荷風は何を考えていたのか、荷風は何を食べていたのか、荷風はどんな女を抱いたのか、荷風は何を書き続けていたのか。戦後の「荷風ブーム」はなぜ可能だったのか。谷崎潤一郎をはじめとして多彩な交遊関係はいかに築かれたのか。『濹東綺譚』以後、作品を発表しようとしない荷風は何をしていたのか。 本書は浩瀚な文献を駆使して、数々の疑問に答えて、ある時代の相貌を鮮やかに浮かびあがらせる。 第1章 開戦前夜に思うことーー昭和15年   第一節 ヨーロッパ戦線に思いを馳せる   第二節 紀元二千六百年に浮かれ立つ東京と生活物資の不足   第三節 じわじわ迫る食糧不足   第四節 昭和十五年の「援助交際」   第五節 昭和二十年発刊の全集を契約    第2章 ついに日米開戦すーー昭和16年   第一節 突然の南進政策とアメリカの反発   第二節 規制が続く東京の街   第三節 続く食糧不足   第四節 素人女性の不可解さ  第五節 日米開戦の日に小説「浮沈」起稿    第3章 早くも転換する戦局ーー昭和17年   第一節 戦争への関心がうすくなる荷風   第二節 配給制度が次々に始まる   第三節 貰い物に助けられる食生活   第四節 荷風は元気である   第五節 復活した創作欲    第4章 ますます悪化する戦局と窮乏生活ーー昭和18年 第一節 ヨーロッパ戦線に微かな希望   第二節 次第に窮屈さを増す日常生活   第三節 食糧を求め東京を彷徨う荷風   第四節 さすがに衰えを見せる荷風   第五節 読書欲と創作欲は旺盛な荷風    第5章 敗戦必至の抵抗ーー昭和19年   第一節 遂に空襲がやって来る   第二節 今度はオペラ館を失う   第三節 この年も貰い物でしのぐ   第四節 浅草の踊子・俳優に慕われた荷風   第五節 ますます創作意欲に駆られる荷風   終章 暁四時わが偏奇館焼亡すーー昭和20年

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