ファシズムへの偏流(下巻)

ジャック・ドリオとフランス人民党;ジャックドリオトフランスジンミントウ

竹岡敬温

2020年11月25日

国書刊行会

3,520円(税込)

人文・思想・社会

貧しい製鉄工の家に生まれたジャック・ドリオ(1898〜1945)は、類まれなる弁舌とカリスマ性でフランス共産党の若き指導者となり、「赤い都市」サン・ドニの市長としても絶大なる人気を誇る。しかし、その信念からコミンテルンに反逆。除名されたのち、共産主義に対する根深い憎悪をたぎらせながら、ファシスト政党「フランス人民党」を結成する。(上巻)。 フランスのドイツへの宣戦布告、休戦協定を経て、ドリオは、反ボルシェヴィズム・フランス義勇軍団の創設者のひとりとしてドイツ国防軍の制服を着て東部戦線で戦うなど、熱烈なナチス協力者へと変じる。その後ドイツの敗色が濃厚になるなか、ドイツ・マイナウ湖に亡命したドリオは、ヒトラーとも会見。自身の政権を画策するが、1945年、移動中に飛行機からの機銃掃射を受け謎の死を遂げる。(下巻) もっとも著名なる政治的転向者のひとりジャック・ドリオの謎に包まれた生涯を、政治、経済、社会、思想史などさまざまな背景から丹念にたどり、あらゆる思想がひしめいた激動の二十世紀史をも照射する傑作評伝。 【本書「第五部 フランス人民党 最後の日々」より】 ドリオは、共産主義からファシズムへ移ることによって、ひとつのイデオロギーへの依存からほかのイデオロギーへの依存へ陥ったといえよう、しかし、ドリオの人間的素質、彼の知性、勇気、情緒的きらめき、政治家としての才能を想い起こすならば、このドリオの共産主義からファシズムへの移行は、そして、その過程で彼が遭遇した数々の難局と混乱の光景は、いっそう耐えがたいものとして我々の目に映じよう。我々が追跡し説明しなければならないのは、この目もくらむような不条理な偏流である。 【下巻目次】 地図 第三部 ヴィシー政権下のフランス人民党 一九四〇〜一九四二年  第1章 元帥の一兵卒として   第2章 フランス人民党の再生ー反ユダヤ主義の激化   第3章 親独反共   第4章 反ボルシェヴィズム・フランス義勇軍団  第四部 ヴィシー政権下のフランス人民党 一九四二〜一九四四年  第1章 政権を目指して   第2章 再び東部戦線へ   第3章 強制労働徴用  第4章 戦況の悪化  第五部 フランス人民党 最後の日々  第1章 亡命   第2章 最後の闘い   第3章 ジャック・ドリオの死   第4章 不条理な偏流  註  あとがき  ジャック・ドリオとフランス人民党略年譜  図版出典一覧  人名・地名・事項索引

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