公開70周年記念 映画『羅生門』展
国立映画アーカイブ / 映像産業振興機構
2020年10月16日
国書刊行会
2,640円(税込)
ホビー・スポーツ・美術
『羅生門』から新たな歴史が始まった。 1950年8月26日の劇場公開以降、日本映画の水準の高さを世界に知らしめた傑作『羅生門』。 企画から撮影、宣伝公開、世界展開にいたるまで色褪せることのないその魅力を多角的に徹底解剖。 これまでにない規模でその全貌に迫る。掲載図版はオールカラー。世界初紹介の資料、多数収録! ◆第1章 企画と脚本 のちに名脚本家となる橋本忍がデビュー前に書いたシナリオが、映画『羅生門』になるまでには多くの変転があった。芥川龍之介作品への着目から始まったアイディアが映画の企画となり、ひとつの映画シナリオへと結実するまでを橋本忍による「羅生門物語」や黒澤自身による創作ノート・メモ、またプロデューサーの本木荘二郎による企画シナリオなどを中心に紹介。映画『羅生門』の誕生に迫る。 ◆第2章 美術 『羅生門』は2つだけのセットとロケーションという一見安上がりな企画であったが、羅生門のセットは撮影準備中に黒澤明のイメージが膨らんで、通常の予算を上回る巨大なものとなった。本章では製作時から話題となっていた映画美術に焦点を当てる。 ◆第3章 撮影と録音 太陽に向けられたキャメラや近隣の水道を止まらせるほど大量の水を使った雨のシーンなど、『羅生門』の撮影は多くのエピソードに彩られている。本章では、撮影の宮川一夫、スクリプターの野上照代の撮影台本を使った新しいデジタル展示の試みやスナップ写真、また野上照代・紅谷愃一の最新インタビューを交えながら、『羅生門』の撮影の秘密に迫る。 ◆第4章 音楽 『羅生門』前後の黒澤作品の音楽を手掛けた早坂文雄は、優れた作曲家というだけではなく、黒澤監督の創作活動にも影響を与えた盟友であった。有名なボレロ形式のテーマの楽譜スケッチなど、早世した天才作曲家が残した貴重な資料を通じて、映画の構成を活かした早坂独自の創作術に迫る。 ◆第5章 演技 三船敏郎と志村喬の撮影台本を中心に、限られた登場人物と複雑な構成を持つ『羅生門』を成功させた俳優たちの多大な貢献に着目。京マチ子旧蔵の写真アルバムやスタジオ撮影のスチル写真も収録。 ◆第6章 宣伝と公開 初公開からヴェネチア国際映画祭受賞後の凱旋上映やリバイバル公開など、国内上映の軌跡を紹介。 特に劇場公開オリジナルポスターや公開直前に開催された特別試写会など、金獅子賞受賞前の『羅生門』を伝える貴重な資料は必見。 ◆第7章 評価と世界への影響 1951年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞は、世界が日本映画を“発見”したと同時に、日本映画界が世界に通用する自らの実力に気づくきっかけとなった。本章では、ヴェネチア映画祭出品の経緯とともに、受賞後の反響と現在まで続くその影響をアメリカを中心に多角的に紹介する。また、各国で制作された『羅生門』の貴重な海外版ポスターや宣伝材料を収録。『羅生門』の卓越した国際性に光を当てる。 収録ポスター制作国(*国名は制作当時):アメリカ、イギリス、イタリア、西ドイツ、スウェーデン、ポーランド、チェコスロヴァキア
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