正義の証明（下）

私刑人の新たな犯行か、それとも模倣犯の仕業かー。次期政権を射程に入れた大物政治家・隴岡泰邦の私設秘書殺害事件を扱う棟居刑事らの捜査は暗礁に乗り上げていた。折も折、隴岡の長女と広域暴力団大和連合の次期後継候補・遊佐八郎の長男の結婚披露宴が賑々しく開かれるが、新郎新婦の紹介で映写されたスライドの中に、新婦の痴態を盗撮したフィルムが混入される。警察は、会場となったホテルの派遣社員の中に、私刑人とおぼしき人物を確認するのだが…。法は誰がためにー。私刑人、最後の聖戦。私刑人を追う暴力団と警察。その輪郭が現われはじめた時、再び運命の歯車が回り出す。法に庇護されなかった弱者の壮絶な闘いを描く本格派ミステリーの傑作、感動のカタストロフィ。